■2002年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子汚染
除草剤耐性作物が従来品種と交雑

 除草剤耐性ナタネを用いた交雑実験が、オーストラリアのアデレート大ほかの研究チームによって行われた。実験には、遺伝子組み換えではないが除草剤への抵抗力をもつナタネを用いた。実験の結果、除草剤耐性ナタネの遺伝子が、2マイル(約3.2km)離れたところに作付けされた従来品種と0.2〜0.03%以下の割合で交雑していることが確認された。〔Science 2002/6/28〕

初の遺伝子組み換え動物の野外実験申請される

  化学及血清療法研究所は、鶏に深刻な被害をもたらす病気である、マレック病とニューカッスル病の両方に効果がある遺伝子組み換え生ワクチンを開発し、鶏に投与する野外実験の認可を求める申請を、農水省に提出した。この生ワクチンは、マレック病ウイルスを無害化したものにニューカッスル病の遺伝子を導入している。もし、この実験が承認されれば、動物を用いた野外実験は初めてとなる。〔日経バイオテク2002/7/1〕

野生種を絶滅に追い込む遺伝子組み換え魚

  米インディアナ州パーデュー大学の研究者らは、コンピュータ・モデルと統計分析手法を用いて、遺伝子組み換え魚を放流した際のリスクを検証した。それによると、雄の生殖能力を抑制した遺伝子組み換え魚を放流した場合に、環境中に生息する野生種が絶滅に追いこまれる時間は、想定されていたより短くなる(20世代)、という。〔Just Food 2002/6/18〕


●遺伝子組み換え動物
GMトウモロコシで鶏の死亡率2倍に

  英国で、家畜の飼料として栽培や流通が認可されている遺伝子組み換えトウモロコシ「T-25」が、96年に認可される際に行われた動物実験で、「問題あり」という結果が出ていたことが判明した。実験では、「T-25」を食べさせた鶏の死亡率が、従来品種を食べさせた鶏の2倍に達していた。英国政府の環境政策に関する諮問委員会の委員長を務め、「T-25」を認可した際のメンバーだったA・グレイは、BBCラジオで、この鶏の実験結果を見直すべきであること、また安全性評価が不十分であることを明らかにした。〔BBCニュース2002/4/27〕

米国で組み換え作物承認の仕組み、強化勧告

  今年2月に全米研究会議が報告書をまとめ、農務省や環境保護局による承認プロセスをもっと強化すべきであると勧告したのに次いで、5月末には会計検査院が、食品医薬品局(FDA)による食品としての安全性評価のプロセスを強化すべきである、との報告をまとめた。モンサント社など開発企業が行った検査データの検証強化と、FDAによる安全性評価の透明性を高めることを、主な勧告としている。〔ロイター2002/5/23〕
 これを受けて政府は、これまで栽培実験の段階ではかかわってこなかったFDAが関与することを求める、規制強化案を8月2日発表した。食品の安全性が、環境への評価の際にチェックされることになる。

除草剤耐性「稲」開発中止を求め、32万の署名

  7月8日、愛知県知事と愛知県農業総合試験場長あてに、モンサント社と共同で開発している、除草剤耐性稲「祭り晴」開発中止を求める32万余の署名が提出された。前々日に名古屋市で開かれた全国集会の参加者が、同集会に向けて全国から募った署名である。受け取った農業総合試験場と愛知県の担当者は、署名を重く受け止めるとしながらも、「始めてしまった以上、中止はできない」と述べた。しかし、5日に行われた見学会では、農業総合試験場の研究者たちの、モンサント社との共同研究を始めたことを後悔をしている話も明らかになっている。


●BSE
冷凍チキンでBSE感染?

 英ガーディアン誌の調査によると、牛肉由来のタンパク粉を混ぜて加工された冷凍チキンは、BSE感染の可能性があることが明らかになった。同誌によると、ブラジルとタイから輸入された鶏肉は、いったんオランダの業者によって牛肉由来のタンパク粉が加えられ、チキンナゲットなどの形で英国に入っていた。学校やレストランなどで、広範に食品として用いられていたという。〔週刊ガーディアン2002/7/11〕


ことば
*マレック病 家畜伝染予防法危険度ランク2の鳥の病気。ヘルペスウイルスを原因とし、伝搬力が強く致死性が高い。