■2011年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●コーデックス
●GM食品表示の国際基準、やっと採決

 コーデックス委員会で20年にわたり議論を重ねてきたGM食品の表示の指針が、ようやく採択され、明文化された。反対し続けてきた米国の代表団が反対を取り下げたことで、100カ国以上の代表団が合意にこぎ着けた。新しい指針により各国は、世界貿易機関(WTO)に貿易障壁として提訴されることなく、GM食品表示を行なうことができる。 〔Consumers International 2011/7/5〕
 採択に対して米国・カナダ両政府は、「この表示の新指針によって状況は何も変わらない」と、GM食品への表示に対して後ろ向きの姿勢を鮮明にした。米国では、90%を超える消費者がGM食品表示を求めている。〔Post media News 2011/7/6〕

 ザンビア消費者協会は、指針が明文化されたことを踏まえて、政府に対してGM食品への表示を義務化するよう求めた。「消費者は守られるべきだ」というのが、その要求の趣旨である。 〔The Post 2011/7/14〕

●省庁動向
●GM作物の安全審査簡略化へ

 2011年7月8日、農林水産省消費・安全局は、すでに食品安全委員会で安全性評価を得られた、食品目的の遺伝子組み換え農作物について、飼料として用いた場合の食品(牛乳、肉など)の安全性評価を省略できるようにする案を提出した。

 これまで遺伝子組み換え食品・飼料ともに承認された作物・品種は多数あるが、いずれも食用、飼料用、飼料として用いた場合の食品(牛乳、肉など)別の安全性すべてをクリアすることが求められ、承認されてきた。今回の提案は、「食用専用GM農作物」という考え方を導入し、食品として安全審査を経たものは、飼料として用いた場合の食品(牛乳、肉など)の安全性審査を省略するというものである。審査の簡略化は「組み換えDNA技術によって得られた生物を含む飼料の安全性の確保に支障がないものとして農林水産大臣が定める基準」とする予定。パブリックコメントを経て、承認される見通しである。

●花粉症緩和米野外実験

 茨城県つくば市にある独立行政法人農業生物資源研究所は7月9日、研究所の隔離圃場で栽培を予定している花粉症緩和米についての説明会を開催した。今回は、本年7月下旬から2014年3月上旬まで、栽培及び越冬試験を行なう。

●GM汚染
●生物資源研、カルタヘナ法違反事件の情報公開せず

 昨年9月9日、農業生物資源研究所で、GM作物を栽培している温室の天窓を開けたまま実験を行なうという事件が発生した。本来実験中は、花粉の飛散を防ぐため、環境から隔絶した閉鎖状態で行なわなければならない。明らかなカルタヘナ国内法違反である。さらに、わずか5日後の14日にも同様の事件が発生した。つくば環境と人権のための市民会議は、この件で原因の説明を求めてきたが、同研究所は正式に「原因不明」と回答した。

●北米事情
●未承認GM米混入事件、バイエル社多額の賠償金に同意

 未承認GM米が混入し、価格低下を招いたとして、米国の農家が起こしていた複数の裁判で、バイエル・クロップサイエンス社は総額7億5000万ドルの和解に同意した。2006年にバイエル社が試験栽培していたGM米が米国の食品から検出されて問題になり、EUを含む主要市場が輸入を拒否するなどして農家は販路を失い、作物価格も暴落した。そのためアーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、テキサスの各州の農家がバイエル社を提訴していた。今回の和解では、2006年から2010年までのあいだに長粒米を栽培したすべての農家が補償の対象になる。例えば2006年から2010年まで毎年500エーカーを栽培した農家は、1エーカーにつき310ドル、合計15万5000ドルの補償を受け取ることができるが、和解成立後90〜150日の間に申し出る必要がある。 〔AP 2011/7/1〕

●2011年米国のGM作物栽培状況

 米国農務省は6月30日、2011年のGM作物作付け割合を発表した。GM大豆は全大豆畑の94%、GMトウモロコシは、全トウモロコシ畑の88%、GM綿は全綿畑の90%を占めている。


表1 GM作物の栽培面積
大豆 7520万エーカー(前年より3%減)
トウモロコシ 9230万エーカー(前年より5%増)
綿 1370万エーカー(前年より25%増)
*1エーカーは0.404ヘクタール

表2 性質別GM作物の栽培面積
除草剤耐性 殺虫性 スタック 非GM
大豆 94% 6%
トウモロコシ 23% 16% 49% 12%
綿 15% 17% 58% 10%


●ラウンドアップは生物皆殺し兵器

 米国カンザス大学の昆虫学者チップ・テイラーは、GM作物に用いられる除草剤ラウンドアップによって、トウワタが1億エーカー失われた、と報告した。トウワタはチョウの幼虫などが好んで食べる植物であることから、チョウなど昆虫の生態に甚大な影響が出ている、と指摘した。また、スウィート・ブリア大学の昆虫学者リンカーン・P・ブロワーは、「ラウンドアップは広大な地域で生物の多様性を奪う皆殺し兵器である」と述べた。  〔The New York Times 2011/7/11〕