■2011年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●印モンサント社がGMオクラ、イネの栽培目指す

 モンサント社のインド子会社マヒコ社はBtナスの商業栽培を目指していたが、自治体や農民の強い抵抗で挫折した。この度、新たにBtオクラとBtイネの栽培へ向けて動きだし、すでに安全性評価のテストに入っている。〔Daily News and Analysis 2011/7/21〕


●モンサント社、中国企業と提携へ

 米モンサント社が、中国北京のSinochem社とGM作物の取引に関して協議を進めていることが明らかになった。中国最大の化学肥料輸入会社Sinochem社は、1950年に国営企業として設立され、化学肥料販売とともに、種子を生産している。年間500億ドル以上を売り上げ、中には不動産取引や金融も含まれている。〔The Wall Street Journal 2011/7/11〕

●中国政府がGM作物開発に本腰

 中国政府は、2011年開始した第12回5カ年計画の中心にバイオテクノロジーへの取り組みを据えている。「バイオテクノロジーの発展のための中国ナショナル・センター」次長Ma Hongjianは、その柱に新しいGM作物の開発と医薬品開発をおいている、と述べた。〔China Daily 2011/6/28〕

●EU事情
●欧州議会、国別GMO規制を認める

 7月5日欧州議会は、各国ごとにGM作物の栽培禁止や規制を決めることができる、現行法の改正案を、賛成548、反対84、棄権31で可決成立した。この決定に対して環境保護団体グリーンピースは、「GM作物は国境を越えて汚染をもたらすため、安心はできない」と述べた。また、GMO推進派は、これによってEUはGM作物開発から取り残される、とのコメントを発表した。〔European Parliament 2011/7/5ほか〕

●ハンガリー政府、違法GMトウモロコシ畑の撤去命じる

 GMOフリー政策を推進するハンガリーで、政府地方自治省の農業担当者は7月8日、GMトウモロコシの撤去を命じた。撤去されたトウモロコシ畑は950ヘクタールに達した。専門家によると、同国でGM種子が出回ったことで受けた損失額は数十億フォリントに達するという。政府の措置に対してモンサント社は、ブタペスト地裁に不服を申し立てた。 〔Caboodle 2011/7/11ほか〕
●オセアニア事情
●西豪州のGM汚染被害の有機農家、最高裁に提訴

 西オーストラリア州で隣人が栽培したGMナタネに汚染され、有機認証を取り消されるという事件が発生した(2011年2月号参照)。7月28日、被害者の農家スティーブ・マーシュが、隣接するGMナタネ栽培農家を相手取って、同州最高裁に提訴した。記者会見には、スレーター&ゴードン法律事務所のマーク・ウォルター弁護士と食品安全財団のスコット・キネアが同席した。同財団は、 FoE(Friends of theEarth=地球の友)とともに、裁判の支援を発表した。また、提訴した農家は「私はGMOフリーの食品を提供したいだけであり、この訴えが他の農家の一助になることを願っている」と述べた。〔The Safe Food Foundation 2011/7/28〕

●オーストラリア反GM小麦をめぐる動き

 グリーンピースは、オーストラリアでこのままGM小麦の試験栽培が継続されると、同国の小麦農家は大変な損失を受けるだろう、という見解を発表した。試験栽培によって交雑・混入、違法流通が起き、非GM小麦の生産・流通に甚大な損害が起きかねない、と指摘した。〔The Sydney Morning Herald 2011/7/7〕
 この声明を発表した直後にグリーンピースは、首都キャンベラ郊外にある、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の試験圃場に侵入し、GM小麦を引き抜いた。その後、シドニーにあるグリーンピース本部が警察の捜査を受けた。 〔Herald Sun 2011/7/21ほか〕
●企業動向
●独BASF社がGMO開発拠点を米国に移す

 ドイツのBASF社は、GMジャガイモの試験栽培をドイツなど欧州各地で進めてきたが、GM作物開発の拠点をドイツから米国へ移転することを明らかにした。その背景に、今回EUが決定した、各国別にGM作物に対応することができる法案の可決がもたらす、規制強化があると見られる。 〔Bloomberg 2011/7/6〕
 また同社は、GMイネの研究・開発を米国内6カ所で進行させている、と米国のイネに関する2つの業界団体の会合で明らかにした。 〔Western Farm Press 2011/7/13〕
●GMO承認情報
表3 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ダイズ ステアリドン酸産生ダイズ 日本モンサント株式会社 MON87769, OECD UI: MON87769-7 2011年6月24日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ デュポン株式会社 1507×MIR604×NK603, OECD UI: DAS01507-1×SYN-IR604-5× MON-00603-6 2011年6月24日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。