■2011年11月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●GMO承認が遅れている中国企業の株価、暴落

 世界最大の穀物生産者である中国企業、オリジン・アグリテク社の、米国で上場している株価が大きく値を下げた。中国でのGM種子の承認が大幅に遅れていることが、その原因だとみられている。〔Thomson Reuters 2011/9/14〕

●香港でもGMパパイヤ違法栽培

 沖縄でGMパパイヤの違法栽培が問題になったが、香港でも違法栽培していたことがわかった。栽培していたのはグリーン・プロデュース財団で、2005年からとみられる。 〔Chaina Daily 2011/9/8〕
●モンサント社
●モンサント社がプエルトリコに実験室設立

 モンサント社は今年6月、プエルトリコでの活動を強化する、と発表した。このたびモンサント社は、同国フアナ・ディアスの南に、GMトウモロコシと綿開発のため、2万平方フィートの実験室を430万ドルかけて作った。 〔America Latina en Movimiento 2011/9/20〕

●GMキャッサバ開発に多額の資金投入

 アフリカの食料支配を進めているモンサント社は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの資金提供を受け、アフリカでのGMキャッサバ開発に多額の資金を投入する。対象は、アフリカのためのウイルス抵抗性キャッサバ(VIRCA)計画で、モンサント社、ビル・ゲイツ財団がそれぞれ550万ドル、ハワード・バフェット財団が約85万ドルを出す予定。これによりキャッサバ・モザイク病に耐性を持った品種の開発を目指す。〔The Scientist 2011/9/7〕
●GM汚染
●西オーストラリア州でGMナタネ自生見つかる

 西オーストラリア州の州都パースから約730q南東にあるエスペランスの道路沿いで、GMナタネ自生調査が行われた。4チームに分かれて自生しているナタネを採取した結果、190中2個体から除草剤耐性遺伝子が検出された。栽培が始まってまだ間がない同州では、汚染の拡大はこれからとみられ、懸念が強まっている。〔Perth Now 2011/9/20〕

●米ノースダコタ州でもGMナタネ自生拡大

 米国アーカンソー大学の研究グループが、ノースダコタ州の道路沿いやアスファルトの割れ目に自生している雑草化したナタネを調べたところ、83%から除草剤耐性遺伝子が検出された。グリホサート(モンサント社の除草剤ラウンドアップの主成分)とグルホシネート(バイエル・クロップサイエンス社の除草剤バスタの主成分)の両方の耐性遺伝子を持つものもあった。〔GM Watch 2011/8〕
●GM昆虫
●GM蚊の野外放出実験、今度はブラジルで

 英国オキシテック社が開発したGM蚊の野外放出実験が、新たにブラジルで行われる。この蚊は、デング熱対策のために開発されたが、安全性に疑問が出されている。これまで2009年12月に西インド諸島にある英国領ケイマン諸島で300万匹以上、2010年12月にマレーシアで6000匹が、ともに秘密裡に放出された。今回のブラジルでの実験では、規模をさらに大きくして行われる予定だという。 〔New Scientist 2011/9/12〕
 さらに実験は、フィリピンでも行われようとしている。9月12日オキシテック社は、フィリピンの科学者を対象に説明会を開催した。 〔Philippine Daily 2011/9/13〕

●遺伝子組み換え作物
●ダウ社が新たな除草剤耐性大豆開発

 ダウ・アグロサイエンス社が新しいGM大豆品種を開発し、認可申請した。グリホサート、グルホシネート、2,4-Dを混合した同社の新しい除草剤に耐性を持つ品種で、認可されれば、モンサント社のラウンドアップ・レディ大豆(現在、米国の大豆栽培面積の90%以上を占める)と競合する有力品種になるという。モンサント社が1996年にラウンドアップ耐性品種を売り出して以来、当初は農家に浸透していったが、最近では除草剤に耐性をもつ雑草が急速に広がっている。ダウ社は今回開発したEnlist品種を、承認を経て、2015年には市販する計画。〔ロイター 2011/8/22〕

●バイエル社がスーパー雑草対策に乗り出す

 独バイエル・クロップサイエンス社が、ラウンドアップ耐性雑草が広がっていることに対して、新たに「ローテーションを守る」イニシアティブを開始した。これは同社が提起し、生産者、コンサルタント、雑草研究科学者、研究者、政府機関の役人が参加して進める計画で、栽培方法を工夫することでスーパー雑草対策を行おうというもの。 〔Bayer CropScience 2011/9/14〕

●GM綿で子どもの健康被害増加

 インドでは、綿の収穫に子どもがかり出されている。小さい指先が収穫作業に適しており、また危険労働と見なされていないことから14歳以下でも働くことが認められている。しかし、1日6時間までという制限を無視して長時間労働をさせた結果、Bt綿の殺虫毒素が、頭痛、吐き気、皮膚病、呼吸器系疾患など子どもたちの健康に影響を及ぼし始めている。一昨年には5人が死亡した。〔GENET News 2011/9/29〕
●研究動向
●植物のRNAが人間の遺伝子に影響

 植物中のmicroRNAが、人間など哺乳類の血液や組織に蓄積し、哺乳類の遺伝子の働きを抑制する可能性があることがわかった。microRNAとは、細胞内にある小さなRNAで、主に遺伝子の働きを抑える役割を果たしている。9月20日付「CellResearch」に掲載された。これは、口から摂取する植物由来の食品が、人間の遺伝子に悪影響を及ぼす可能性があることを示したもので、GM技術によって遺伝子が改造された際に起きる潜在的危険性を示したものといえる。 〔The Scientist 2011/9/20〕
●GMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
トウモロコシ 乾燥耐性トウモロコシ 日本モンサント株式会社 MON87460, OECD UI: MON-87460-4 2011年9月9日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。