■2011年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●EU事情
●中国産米加工食品の全品検査開始

 EUは11月14日から中国から入ってくるすべての米の加工食品を検査する。これは中国でGMイネの違法栽培が止まらないため実施されることになった。 〔European Voice 2011/10/27〕

●欧州司法裁判所、仏の「MON810」栽培禁止を誤りと判断

 欧州司法裁判所は、フランスによるモンサントのGMトウモロコシ「MON810」の栽培禁止措置は誤りであるとの判断を下した。この判断に対してフランス環境相は、あくまでも栽培禁止措置を継続する方針を明らかにした。
 「MON810」はEUが商業栽培を認可している2種類のGM作物のうちの1つ。フランスは2008年2月に栽培を禁止した。そのほか、ドイツ、オーストリアなど数カ国が自国内で栽培を禁止している。 〔All About Feed 2011/9/15〕
●中南米事情
●ブラジルがウイルス耐性GM大豆承認

 ウイルス耐性GM大豆がブラジルで初めて承認された。このGM大豆に関しては、大規模栽培・消費をした際の健康影響をモニタリングする情報が不十分、耐性の持続性が不明であるなど、承認を疑問視する声があがっている。 〔GM-Free Brazil Campaign 2011/9/22〕

●中米ベリーズでGMトウモロコシ試験栽培開始

 中米のベリーズでGMトウモロコシを試験栽培することになった。試験栽培は隔離・警備された環境で実施するので、一般の畑のトウモロコシと交雑する危険はない、と農務水産省は述べ、首相もGMトウモロコシは栽培後すべて破棄する、と述べているが、消費者団体は懸念を募らせている。 〔Amandala 2011/10/7〕
 この動きに対して、伝統的に在来のトウモロコシを主食にしているマヤ系の人々は、GMトウモロコシが栽培されると、交雑が起き、食の安全が脅かされとして、種子の輸入を含めて全面的な禁止を求めた。 〔The Reporter 2011/10/8〕
●アフリカ事情
●南アフリカがGMイネを承認

 南アフリカ共和国政府は、バイエル・クロップサイエンス社のGMイネ「LLライス」を承認した。同国では、国内消費はすべて輸入にたよっており、さらに、輸入されたコメの一部は他のアフリカ諸国に輸出されている。そのため、国内用に輸入されたGMイネが他国へ拡散しないか、懸念が強まっている。 〔African Centre for Biosafety 2011/10/24〕

●南アフリカでGMバナナの試験栽培申請

 南アフリカ共和国の公立プレトリア大学が、GMバナナの初の試験栽培を実施するため認可申請を行なった。目的は、立ち枯れ病を防ぐためで、イネの遺伝子を組み込み、病気の原因となる土壌菌に耐性を持たせるという。 〔African Centre for Biosafety 2011/10/14〕
●アジア事情
●インドネシアがGM作物解禁へ

 インドネシア政府は、新たにGM作物栽培を承認するための規則を作成した。これにより、2012年からのGM作物輸入・栽培の開始が可能になった。それに対して市民団体が抗議、農業大臣に規則の取り消しを求めた。また、インドネシア環境保護法センターのアンリ・スバジヨ事務局長は、規則は取り消されるか、見直されるべきだと述べた。 〔The Jakarta Post 2011/10/22〕

●中国政府、GMイネ・小麦の商用化見送り

 中国政府が、今後5〜10年はGMイネおよびGM小麦の商業栽培を見送る方針、と農務省に近い情報筋が明らかにした。遺伝子組み換え技術の安全性について懸念材料が多いこと、GM作物関連の研究・推進・規制などの体制が充分に整っていないこと、などが理由として挙げられている。一方で、GMトウモロコシについては需要が急増しているため、今後5〜10年以内に商用化に踏み切
る可能性があるという。トウモロコシは大半が飼料用に使われ、食用は少ないため、商用化に向けた障壁が低いと見られる。 〔Third World Network 2011/10/6〕

●中国で医薬品生産GMイネ開発

 10月31日、中国の大学の研究者が、GMイネの中で人のタンパク質を作ることに成功した、と発表した。作り出したのは、細胞の活動を活発にするタンパク質・血清アルブミンで、研究者は、外傷や肝臓病などの治療に用いることができる、と述べた。 〔Agence France Press 2011/11/1〕

●インドのBt綿農家の自殺深刻化

 大半の綿がBt綿となったインドでは、収量の減少が止まらない。昨年の1ヘクタール当たり475キログラムをさらに下回り、今年は、この5年でもっとも低い水準に落ちこむと予測されている。
 収量の減少とともに、経済的に追い込まれた農民の自殺者は増加の一途をたどっている。自殺者の3分の2が、綿の生産地マハラシュトラ州ほか、カルナタカ、マッディヤプラデーシュなど5州に集中しており、Bt綿と農民の自殺との間に強い関係が示されている。インドではこの16年間で25万人の農民が自殺した。 〔The Hindu 2011/10/29ほか〕