■2011年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●非GM作物の方が利益をもたらす

 米国の新たな研究で、非GMトウモロコシの方が、GMトウモロコシより、はるかに利益をもたらす実態が示された。この報告をまとめたのはポール・ミッチェルらの研究チームで、ウイスコンシン州では、トウモロコシで得られた利益の75%が、非GMトウモロコシ農家があげたものだ、と指摘している。 〔Iowa Farmer Today 2011/11/2〕

●ゲイツ財団の助成の4割がGMO関連

 ビル&メリンダ・ゲイツ財団が報告書を発表した。それによると、2005〜11年にかけて拠出した助成金の40%以上がGM作物に割り当てられていた。その中に、2011年2月に発表した旱魃耐性のための、光合成を活性化させるイネの開発も含まれている。 〔GM Freeze 2011/10/31〕
●遺伝子組み換え作物
●IRRIで新たなGMイネの試験開始へ

 オーストラリアの植物機能ゲノムセンターが開発したGMイネが、フィリピンにある国際イネ研究所(IRRI)で試験栽培されることになった。このGMイネは、通常のイネに比べて亜鉛が2倍、鉄分が4倍含まれているという。IRRIでは、土壌中の鉄分がどれほどイネに移行するか等を確認する予定。 〔FNB News 2011/10〕

●殺虫毒素が効かないBt作物

 害虫に耐性をもつはずのBt作物の、さまざまな問題点が明らかになってきた。
 アイオワ州立大学研究グループの実験で、Btトウモロコシ畑で採集した害虫を研究室で飼育したところ、Btタンパク質(殺虫毒素)を摂取しても死なないことがわかった。 〔Food Freedom 2011/8/24〕
 イリノイ大学でも、耐性を持つはずのGM作物が害虫に冒されている実態が明らかになったという。まだ害虫の採集・飼育は行われていないが、Btタンパク質に耐性を獲得しているとは断言できない、と研究者は慎重に述べている。 〔St Louis Post Dispatch 2011/9/24〕
●企業動向
●新たなGMナタネ開発計画

 独BASF社と米カーギル社が共同で、商業化を視野に5年以内の予定で「オメガ3計画」を進めることになった。計画では、海藻に由来する遺伝子を用いてDHAやEPAを多く含むナタネを開発する。 〔NatraIngredients 2011/11/2〕

●独BASF社が新GMジャガイモを申請

 GMジャガイモ「アムフローラ(Amflora)」を開発した独BASF社が10月31日、新たなGMジャガイモ「フォルトゥーナ(Fortuna)」をEUに認可申請した。「フォルトゥーナ」は、糸状菌による葉枯病に抵抗力を持たせたとされるもので、申請は、食品、工業製品の使用、商業栽培を含む。 〔BASF 2011/10/31〕

●特許裁判で農家がモンサント社に負ける

 特許対象となっているGM種子を勝手に栽培したのは知的財産権侵害にあたるとして、モンサント社がインディアナ州の大豆生産農家を訴えていた裁判で、モンサント社の主張を認めた一審判決を支持する判決を連邦控訴裁判所が下した。農家は、地元の穀物倉庫から買った市販種子の中に、モンサント社のラウンドアップ耐性GM種子が混入していた、と主張していた。市販種子には、ラウンドアップ耐性種子を栽培している農家で生産された種子も混じっており、そうした種子の販売にライセンス契約は必要ないとされている。モンサント社はラウンドアップ耐性種子の栽培を一季に限っており、採れた種子の販売を禁じるライセンス契約を農家と結んでいるが、そのさらに次の世代の種子は販売禁止の対象にならない、という見解を裁判所は示している。しかし、農家がその種子を畑に蒔いて、あらたな作物・種子を生産することを認める、という解釈にはならないのだという。裁判所は知的財産権の侵害を認め、農家側に8万4456ドルの損害賠償の支払いを命じた下級審の判決を支持した。 〔Mother Nature Network 2011/9/21〕
●大学動向
●北大教授等がGM作物開発を道に提言

 10月22、23日に北海道大学で、GM作物を推進する同大学教授などで結成された実行委員会による「GMどうみん会議」が開催された。会議では、GM作物を認める用途を医療用、観賞用、工業用など8つに絞り、とくに放射能の吸収や軽減に役立つGM作物を開発する必要がある、とする提言をまとめて、道に提出することになった。 〔北海道新聞 2011/10/24〕
●省庁動向
●農水省がGMナタネ・大豆自生調査結果発表

 農水省は10月14日、「平成22年度遺伝子組換え植物実態調査」結果を公表した。それによると、輸入港18港の周辺を調査し、そのうち9港からGMナタネが見つかったという。セイヨウナタネは403検体で、112がGMナタネだった。カラシナは863検体、在来ナタネは276検体で、いずれもGM品種はなかった。検出されたGMナタネ112検体のうち1検体がラウンドアップとバスタの両方に耐
性を持つものだったという。なお、市民の調査で交雑が確認されたブロッコリーやハタザオガラシなどの調査は行なっていない。
 GM大豆の調査報告では、自生大豆は輸入港10港のうち4港で8検体見つかり、うち2港の5検体がGM大豆だった。なお、大豆と交雑するツルマメについては、見つかった10検体のいずれもGM品種ではなかったという。詳細は同省ホームページに掲載されている。