■2012年2月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●オセアニア事情
●豪州でGM小麦開発本格化

 オーストラリアで、米モンサント社と独バイエル・クロップサイエンス社によるGM小麦開発が加速している。オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)によると、2015年には商業化が現実のものになりそうだという。これに対して環境保護団体のグリーンピースは、「消費者はGM小麦から作られたパンを食べる危険に直面している」と警告した。〔The Canberra Times 2011/12/6〕
●国内事情
●GMパパイヤ日本の店頭に初登場

 ハワイ産の遺伝子組み換えパパイヤが日本で初めて店頭に並んだ。消費者がGM食品を嫌っていることを理由に、多くのスーパーでは販売を行っていないが、米国系資本の会員制スーパー・コストコ札幌、兵庫など10店でGMパパイヤが販売された。生で食べる果物が日本で販売されるのは、今回のGMパパイヤが初めてである。〔毎日新聞ほか 2011/12/9〕

●相次ぐ未承認GM食品添加物違法流通

 12月5日、食品衛生法に基づく安全性審査を受けていない遺伝子組み換え細菌を使って製造した食品添加物「5’―イノシン酸二ナトリウム(5'-IMP・2Na)」と「5’―グアニル酸二ナトリウム(5'-GMP・2Na)」が大量に輸入され、流通していることが判明した。厚生労働省によると、輸入量は年600〜700トンに上り、タレやかまぼこ、ハムなどにかつお節やシイタケの風味を出すため添加された食品は、年180〜200万トン流通している。厚労省はこの添加物の輸入・販売中止を指示し、安全性審査の手続きを開始した。違法流通であるが、流通ずみの加工食品の販売中止は求めない。
 22日にもやはり未承認のGM食品添加物「リボフラビン」と「キシラナーゼ」が流通していることが明らかになった。ここ3年の間に、清涼飲料水などの着色や栄養強化に用いられる「リボフラビン」は36トン、パンを作る際の酵素に用いられる「キシラナーゼ」は0.6トン使用されていた。厚労省は「キシラナーゼ」については輸入・販売の中止と加工食品の販売中止と・回収を指示したが、「リボフラビン」については輸入・販売の中止を指示したものの、加工食品の販売中止と回収は求めなかった。 〔厚労省 2011/12/5,22〕
●遺伝子組み換え作物
●グリホサートが動物の遺伝を障害

 アルゼンチンにとってGM大豆は外貨を稼ぐ有力な武器だが、反面、農村に毒をばらまいている。コルドバ州にあるリオ・クアルト国立大学の研究チームは、GM大豆の栽培に用いるラウンドアップの主成分グリホサートが、マウスや蛙などの両生類に遺伝的な悪影響を及ぼすことを明らかにした。研究チームの生物学者DeliaAiassaは、「グリホサートは、喘息、慢性気管支炎、皮膚や眼への刺激、腎臓・肝臓・神経系へのダメージ、癌、子どもの発達障害、赤ちゃんの先天障害をもたらす」と述べた。 〔International Press Service 2011/12/9〕

●Bt綿の飼料は家畜に悪影響をもたらす

 パキスタンの農家が、Bt綿が牛などの家畜に悪影響があると証言した。Bt綿の綿実を飼料に混ぜて動物に与えると、食欲不振、乳量の低下、早産、原因不明の突然死などを引き起こすという。しかも、牛乳、ヨーグルト、ラッシー、バター、ギーなどの味も影響を受け、苦みが増すという。 〔The Dawn 2011/12/19〕
●GMOフリー
●ポルトガルの島がGMOフリーを宣言

 大西洋北部にあり、サン・ミゲル島など9つの主要な島から成るポルトガルのアゾレス諸島が、GMOフリーを宣言した。同諸島は、典型的な海洋性気候で、温暖で雨量が多いことから農業が盛んである。オレンジ、ブドウ、パイナップルなどの果物に加えて、トウモロコシなどの作物も作られている。〔The Portugal News 2011/12/17〕
●GM昆虫
●米国でGM蚊の実験

 この間、世界各地で実験が進められているデング熱対策GM蚊の野外実験が、今度は米国で行われようとしている。実験地として指名されたのはフロリダ州の島で、同州キーズの蚊管理地域が、英国オキシテック社と組んで2012年内に行う予定。現在は、連邦政府と州政府の許可を待っている。 〔The Citizen 2011/12/25〕
●モンサント
●モンサント社2012年の戦略

 モンサント社は、相変わらず政府を動かすためにロビー活動を重視している。2011年第3四半期にそのために投じた資金は、200万ドルに達したという。〔MSN Money 2011/12/15〕
 2012年はGM種子ビジネスを強化するために、ブラジルとアルゼンチンの大規模農家にねらいを定めていくと、経営最高責任者のヒュー・グラントが、12月7日に発表された収支報告の中で述べた。 〔Agriculture 2011/12/22〕
●ゲノム
●中国と国際研究機関が共同でキャッサバの遺伝子解析

 国際熱帯農業研究センター(CIAT)と、世界最大のゲノム(全遺伝情報)研究機関である中国の北京ゲノミクス研究所(BGI)が共同で、キャッサバの遺伝子解析に取り組むことを発表した。キャッサバは、稲、小麦、トウモロコシに続く第四の主食穀物であり、途上国を中心に食されている。そのため、その遺伝子特許は、食料支配で有力な武器となり得る。〔Beijing Genomics Institute 2011/12/6〕