■2012年4月号

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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●2011年GM作物栽培の現状

 GM作物を推進している国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が、GM作物栽培の現状を発表した。2011年のGM作物栽培面積は1億6000万haで、2010年より1200万ha増加し、世界の農地(15億ha)の1割強となった。しかし、1億6000万haのうち1億2300万haを米国・アルゼンチン・ブラジルの三大栽培国が占めている。栽培国は29カ国と、昨年と変わらない。
 作付けした1670万戸の農家の大半は中国とインドの農家で、それぞれ700万戸がBt綿を作付けしている。インドではBt綿の栽培面積が全綿の88%に達し、中国では71.5%に達した。新たな特徴としては、米国でアルファルファが20万ha、テンサイが47.5万ha作付けされた。ヨーロッパは、スペイン・ポルトガルで栽培面積が増えているものの、全体的には撤退傾向にあり、7カ国がGM作物栽培を禁止している。アフリカも昨年同様、南アフリカ、ブルキナファソ、エジプトの3カ国のみで、栽培国は増えていない。 〔ISAAA 2012/2/7〕

表1 遺伝子組み換え作物の作付け面積推移(万ha)
1996年 170
1997年 1100
1998年 2780
1999年 3900
2000年 4300
2001年 5260
2002年 5870
2003年 6770
2004年 8100
2005年 9000
2006年 1億200
2007年 1億1430
2008年 1億2500
2009年 1億3400
2010年 1億4800
2011年 1億6000
(参考:日本の国土面積は3780万ha)



表2 国別作付け面積(万ha)
米国  6900  大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、パパイヤ、アルファルファ、テンサイ
ブラジル  3030  大豆、トウモロコシ、綿
アルゼンチン  2370  大豆、トウモロコシ、綿
インド  1060  綿
カナダ  1040  ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ
中国  390  綿、パパイヤ、ポプラ、トマト、ピーマン
パラグアイ  280  大豆
パキスタン  260  綿
南アフリカ  230  トウモロコシ、大豆、綿
ウルグアイ  130  大豆、トウモロコシ
ボリビア  90  大豆
オーストラリア  70  綿、ナタネ
フィリピン  60  トウモロコシ
ミャンマー  30  綿
ブルキナファソ  30  綿
メキシコ  20  綿、大豆
スペイン  10  トウモロコシ
その他*  わずか
 1億6000
*その他の国 チリ(トウモロコシ、大豆、ナタネ)、コスタリカ(綿、大豆)、コロンビア(綿)、ホンジュラス、ポルトガル、チェコ、ポーランド、エジプト、スロバキア、ルーマニア(トウモロコシ)、スウェーデン、ドイツ(ジャガイモ)

表3 作物別作付け面積(万ha)
2011年 2010年
大豆 7540(47%) 7330
トウモロコシ 5100(32%) 4680
綿 2470(15%) 2100
ナタネ 820(5%) 700
その他 70(1%)
 1億6000(100%) 1億4800*
*ISAAA発表数字ママ。
表4 性質別作付け面積(万ha)
2011年 2010年
除草剤耐性 9390(59%) 8930
殺虫性 2390(15%) 2630
除草剤耐性+殺虫性 4220(26%) 3230
その他 わずか 10
1億6000(100%) 1億4800



●Bt毒素が対象以外の昆虫の死亡率を上げる

 2月15日、スイス連邦工科大学のアンジェリカ・ヒルブリックらの研究チームが、殺虫性作物の殺虫成分Bt毒素「Cry1Ab」によってテントウムシの幼虫の死亡率が増加する、という研究結果を発表した。バイテク企業やGMO推進研究者は、Bt毒素は対象害虫以外には影響しないと言ってきたが、益虫にも影響することが示された。研究チームは、2009年に同様の研究結果を発表したが、直後にGMO推進の研究者から激しい攻撃を受けた。今回の発表は、同じ実験を追試したもの。〔ENSSER 2012/2/27〕

●除草剤ラウンドアップの成分が尿から検出

 ドイツの大学が行った研究で、都市生活者の尿サンプルから、除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートが高濃度で検出された。「Ithaca journal」掲載の研究報告によると、すべてのサンプルから飲料水基準の5〜20倍のグリホサートが検出されたという。ラウンドアップは除草剤耐性GM作物などの農業で使われるほか、鉄道の線路周辺や、都市部の道路周辺などにも広く散布されている。農薬業界からの圧力などのため、分析データはまだ一部しか公開されていない。〔GM Watch 2012/1/20〕
●アジア事情
●中国で検討されているGM作物規制法

 GMO大国化しつつある中国で、規制に向けた新たな動きが出てきた。その1つが、現在検討されている穀物法である。この法律は、穀物の安定供給と安全性確保を目的としており、とくにGM作物・食品の実験や栽培、流通を規制し、不法な行為を取り締まることで、市民の間で広がっている不信と不安に対処しようというもの。また、中国政府の公式筋によれば、今年はGM穀物の大規模栽培は承認せず、生産はしないという。トウモロコシとイネに関する発言とみられる。〔Business Week 2012/2/2〕


●GM綿の収量減で自殺者が増えるインド

 中国とともにアジアでGMO大国化しつつあるインドでは、相変わらずBt綿農家の自殺が増加し続けており、児童労働の際の健康障害も問題になっている。その最大の原因が収量減である。収量が増加していたのは2002〜2005年だが、その期間の綿栽培全体に占めるBt綿の割合は0.4〜5.6%程度だった。最近4年間では、67〜92%まで増えたが、収量は減少の一途をたどっている。〔Field questions 2012/2/12〕


●インド州政府がBt綿収量減に賠償命令

 インド・マハラシュトラ州政府は、約束した収穫量をあげなかったとして、164名のBt綿農家に賠償金450万ルピーを支払うよう、独バイエル・クロップサイエンス社インド支社に命じた。同社のBt綿品種「SurPass1037」は、収穫量が最低基準にも満たなかったという。〔Economic Times 2012/2/8〕


●バングラデシュがGMイネの野外実験を承認

 バングラデシュ政府が、GMイネの野外実験を承認した。承認したのは、ゴールデンライスと呼ばれるベータカロチンを増量したイネで、別名ビタミンAライスともいう。緑の革命によって開発された「イリ米」と呼ばれる高収量品種(IR-64)に、フィリピンの品種(RC-28)を掛け合わせた品種。 〔The Daily Star 2012/2/5〕