■2012年4月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●仏政府がEUにGMトウモロコシ禁止を求める


 2月20日フランス政府は、EUの行政組織である欧州委員会に対して、モンサント社のGMトウモロコシ「MON810」のEU域内での使用禁止を求めた。フランスでは、同国最高裁が禁止措置を違法とする判断を下しているにもかかわらず「MON810」の禁止措置を続けているが、EUでは「MON810」の栽培を認めている。最近欧州食品安全庁(EFSA)が行った研究で、このGMトウモロコシが環境に対して著しく悪影響があることが判明したため、フランス政府は要請にふみきった。〔Agence France Press 2012/2/20〕


●EUの農薬残留基準、モンサント社の求めに応じ緩和へ

 モンサント社は、レンズ豆栽培時に使用される除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートの残留基準を緩和するようEUに求めた。EUの残留基準は0.1mg/kgだが、それを10r/s、もしくは15r/sに緩和するように求めたもの。これは安全性を根拠にしたものではなく、EUで現在流通しているレンズ豆に、すでにその濃度のグリホサートが残留している可能性が高いため、というのが提案理由のようだ。実際、最近カナダからチェコ共和国に輸出されたレンズ豆から、EUおよびカナダの残留基準を超える10.5r/sのグリホサートが検出され(カナダの現行基準は4r/s)、チェコでは製品を市場から回収している。欧州食品安全庁(EFSA)は2012年1月、モンサント社の提案を受け入れ、10または15r/sに基準を緩和する、との見解を表明した。EUはすでに、小麦や大豆についてはグリホサート残留基準の緩和に応じている。 〔GM Freeze 2012/2/8〕



●北米事情
●旱魃耐性トウモロコシは効果なし


 米国農務省は2011年12月、モンサント社の旱魃耐性GMトウモロコシ「MON87360」の規制を解除した。同省は11月の最終環境アセスメント文書で、このGMトウモロコシの“旱魃耐性”は、“中程度”の旱魃条件にしか効果がなく、従来品種のトウモロコシと同じように“最低限の水を必要とする”と認めた。さらに、収穫量は従来品種の収穫量を超えない、とも述べた。逆に、モンサント社のGM種子が市販されることによって、これまで普通に入手できた従来品種の種子の入手が困難になるのではないか、と懸念する声もある。〔Mother Jones 2012/1/23〕


●回転扉人事に反対する署名始まる

 米国で回転扉人事に反対するオンライン署名が始まった。回転扉人事とは、政府の高官と企業の重役を行き来することで、具体的には、モンサント社の重役と米国食品医薬品局(FDA)の間を行き来しているマイケル・テーラーを名指ししたもの。FDAは、食品や医薬品の許認可にかかわる機関であり、この人事がこれまでモンサント社に有利に働いてきた。オンライン署名ではまた、オバマ大統領に対して、モンサント社との癒着をやめるよう求めている。 〔Chemistry World 2012/2/8〕



●モンサント社
●モンサント社、スーパー雑草の存在を認める


 モンサント社は長い間、除草剤が効かないスーパー雑草の存在を認めてこなかった。その間、スーパー雑草は増え続け、手が付けられない状態になっている。今回やっと、カナダ・アルバータ州南部の3か所の畑(計101〜500エーカー)に生えた雑草Kochia(ホウキグサ)に、除草剤ラウンドアップが効かなくなっていることをモンサント社自身が明らかにした。このほか米国の3州でもグリホサート耐性Kochiaの生育をモンサント社は確認している。スイスのシンジェンタ社によると、米国ではラウンドアップ耐性を獲得した“スーパー雑草”が1400万エーカーの綿・大豆・トウモロコシ畑にはびこっており、2015年にはさらに倍増すると見られている。米ダウ・ケミカル社が2011年に行なった研究では、すでに2000万エーカーのトウモロコシ・大豆畑がスーパー雑草に浸食されている可能性があるという。 〔Bloomberg 2012/1/13〕


●モンサント社がインドで虚偽広告

 モンサント社のインド現地法人マヒコ・モンサント・バイオテック社がインドで出した新聞広告は十分な根拠がない、とインド広告基準協議会(ASCI)が結論づけた。問題の広告は、2011年8月30日付のインドの新聞「HindustanTimes」に掲載されたもので、「ボールガード(モンサント社のGM綿)でインドの綿生産者の収入が3150億ルピー以上増加」と書かれていた。ASCIはこの広告について、「広告の内容が真実で公正であること、誤解を招くおそれのある広告を防止する」ための自主規則に照らして、裏付けがないと結論づけた。モンサント社はこれまでにも、2009年にフランスで虚偽の広告(除草剤が「生分解性」で、「使用後の土壌はクリーン」など)を出したとして1万5000ユーロの罰金の支払いを命じられている。また2007年には南アフリカで、裏付けのない、誤解を招く内容であるとして広告基準当局に雑誌広告の撤回を命じられている。 〔India Today 2012/1/14ほか〕



●GM食品表示
●フランス政府、GMフリー表示認める

 フランス政府は、同国の食品産業が「GMフリー」表示を行うことを容認した。現在EUでは、GM食品表示が義務づけられているものの、非GM食品に関しては表示しないことになっている。EU域内ではGM食品が出回っておらず、GMに関する表示が見当たらないため、食品メーカーなどから「GMフリー」表示を求める声が強まっていた。 〔Bloomberg 2012/2/1〕


●米国でGM食品表示を求める動き拡大


 米国バーモント州議会に「GM食品について知る権利法案」が提出された。この法案は、「モンサント社などバイテク企業に対抗するイニシアティブ」と呼ばれ、GM食品への「ナチュラル」表示を禁止するとともに、厳密なGM食品表示を求めている。  〔Food Safety News 2012/2/10ほか〕



●GMO承認情報
表5 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ダイズ 除草剤アリルオキシアルカノエート系及びグルホシネート耐性ダイズ ダウ・ケミカル日本株式会社 DAS68416, OECD UI: DAS-68416-4 2012年1月24日
ワタ 除草剤アリルオキシアルカノエート系及びグルホシネート耐性ワタ ダウ・ケミカル日本株式会社 DAS1910, OECD UI: DAS-81910-7 2012年1月24日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ デュポン株式会社 1507×59122×MON810×NK603×MIR604, OECD UI: DAS-01507-1×DAS-59122-7×MON-00810-6×MON-00603-6×SYN-IR604-5 2012年1月24日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。