■2012年7月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●交雑が起きやすいGM小麦の完全隔離は不可能

 GM小麦は、従来品種の6倍の早さで他の植物と交雑を起こす、という研究結果が報告された。また、2.75km離れた作物と交雑を起こしたことを示すデータもある。GM小麦が商業栽培されれば、こうした自然交配を防ぐのは難しく、また、人為的ミスや不十分な基準なども考えられるため、食品加工・流通網の中でGM品種と従来品種を完全に隔離するのは容易ではない、と指摘している。 〔GM Freeze 2012/5/3〕


●Btトウモロコシが共生菌を減らす
 

 モンサント社のBtトウモロコシが、土壌の生態系に悪影響をおよぼす可能性を示す研究結果が報告された。米国オレゴン州立ポートランド大学のチームによる研究で、Btトウモロコシと、土壌中で作物の根と共生するアーバスキュラー菌の菌根形成との関連を調べたところ、非Btトウモロコシに比べて、Btトウモロコシの根では形成が少なかった。アーバスキュラー菌は、作物の根から炭素を得る代わりに、作物の栄養素や水分などの吸収を促進する、大切な役割を果たす。研究者は、同様の影響について、今後さらに研究を進める予定だという。 〔Phy Org 2012/4/17〕


●除草剤ラウンドアップは他の植物の発芽を抑制する

 「農場&牧場ガイド(Farm and Ranch Guide)」は、グリホサートを使用してはいけない98の理由の中で、除草剤ラウンドアップの主成分のグリホサートが、他の作物の発芽を抑制することを明らかにした。同ガイド発行元の種子研究所が調査したところ、発芽が抑制される作物は、小麦、亜麻、エンドウなど多種類に及ぶ。そのため同研究所は、ラウンドアップを使用しないよう農家を指導している。 〔GENET 2012/5/8〕
●GM食品表示
●カリフォルニア州のGM食品表示法案、住民投票へ

 米国カリフォルニア州で、住民投票の実施に必要な数をはるかに超える97万人以上の署名が集まり、州政府に提出された。今後、州政府が署名の有効性を確認し、必要数に達していれば、住民投票が実施される。住民投票の結果、表示を義務付ける州法が制定されれば、食品メーカーは2014年7月からGM原料を含む製品に表示をしなければならなくなる。また、GM原料を含む製品には「natural(自然)」という表現が使えなくなる。ただし、メーカーが非GM原料へ切り替える有余期間である2019年7月までは、製品の重量の0.5%以内であれば、GM原料が使用されていても、表示は免除される。〔Food Freedom News 2012/5/3〕
●GM汚染
●タイでGMパパイヤ汚染発覚

 昨年、沖縄で未承認GMパパイヤの流通が明らかになったが、同様の事件がタイでも発生した。バンコクにあるチュラロンコン大学の研究者Piyasak Chaumplukが行った調査で、カンチャナブリー州の農家が栽培しているパパイヤが、GMパパイヤだと判明した。研究者は農業省に対して廃棄を求めている。 〔The Nation 2012/5/18〕
●GMOフリー
●インドとカナダの都市、GMOフリーを宣言

 インド・カルナタカ州の古都マイソール市がGMOフリー都市を宣言した。発表した市長は、市内へのGM食品流入を認めない、と述べた。 〔Deccan Herald 2012/5/16〕
 カナダでは、5月22日にブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市議会が、市内でのGM作物や樹木の栽培禁止を可決した。同時に、GM食品の表示を求めることも決議した。 〔The Vancouver Sun 2012/5/22〕


●メキシコのユカタン州もGMOフリーへ

 メキシコ東部ユカタン半島にあるユカタン州の養蜂家が、州政府に対してGM種子の使用禁止を求めた。養蜂家は、家畜の飼料を含めすべての食物にGM作物を用いないよう要求した。環境及び地域発展省長官は、その要求に応えて、GMOフリー宣言を準備していることを明らかにした。 〔The Yucatan Times 2012/4/26〕


●生命特許
●欧州議会、生命に対する特許中止を可決

 欧州議会は、動物や植物などの生命に対する特許を中止するよう、欧州特許庁に働きかける決議を圧倒的多数で可決した。市民団体「種子への特許にノー」のルース・ティッペは、「欧州特許庁はこの決議を無視することはできない。すべての農民・消費者の勝利である」と述べた。 〔No Patents on Seed 2012/5/10〕


●クローン
●英国の酪農家、クローン牛の飼育断念

 英スコットランドで唯一、クローン由来の牛を飼育していた酪農家が、消費者が受け入れない現状ではクローン由来の牛乳や牛肉の販売が見込めないとして、クローン牛から生まれた2頭の種牛を親とする96頭の牛の飼育を断念した。酪農家は2年前に種牛を購入したが、動物愛護と人間の健康を懸念する声が広がり、スーパーマーケット各社がそうした牛乳は一切取り扱わないと表明していた。96頭のうち、すでに42頭が処分され、31頭がポルトガルへ輸出され、残る23頭も近々手放される。 〔Daily Mail 2012/4/6〕

●GMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ダイズ 除草剤メソトリオン及びグルホシネート耐性ダイズ シンジェンタジャパン株式会社 SYHT0H2, OECD UI: SYN-000H2-5 2012年4月24日
アルファルファ 低リグニン・アルファルファ 日本モンサント株式会社 KK179, OECD UI: MON-00179-5 2012年4月24日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。