■2012年10月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EUのGM作物試験栽培、減少傾向

 EUに今年提出されたGM試験栽培の申請数が、昨年、一昨年に比べて減っていることが明らかになった。現在、EUでGM作物の商業栽培を認めているのはスペインのみで、試験栽培もEUの中で最も多くの作物を実施している。5月30日までに申請された試験栽培は41件で、そのうち30件がスペインでの計画だった(その他の申請国は、スウェーデン、アイルランド、デンマーク、ドイツ、ベルギー、チェコ、ハンガリー、スロバキア)。申請の3分の2が、独BASF社や独バイエル社など大手バイオテクノロジー会社による除草剤耐性・病害虫耐性品種で、世界のほかの地域ですでに栽培されている。また、3分の1が、大学や公共研究機関による実験である。 〔gm education 2012/7/10〕

●アイルランドのGMジャガイモ試験栽培その後

 葉枯れ病耐性GMジャガイモの試験栽培を認めたアイルランド環境保護局に対し、環境保護や有機農業などの市民団体が裁判に訴えることにした。裁判に当たって市民団体は、敗訴した際の「法外な支払い」を免れる措置を求めたが、高等裁判所はその要求を拒否した。実験を申請した農業振興・食品開発局(Teagasc)によれば、このGMジャガイモは殺菌剤の使用を大幅に抑え、環境負荷を減らすことができるが、長期的な影響などについて観察する必要もある、と開発研究者自身も述べている。〔Irish Times 2012/7/27〕

●オランダでGMジャガイモ試験栽培公開へ

 オランダで葉枯れ病耐性GMジャガイモの試験栽培が公開される。今年5月、試験栽培中のジャガイモを引き抜き、在来品種に植え替えようとしたとして起訴された活動家に対する裁判が始まり、裁判所周辺での支援活動が注目をあびた。加えて、GM規制緩和を働きかける政治家らのロビー活動が明らかになり、批判された。これらを受けて、オープンな印象を与えようと、今回、試験栽培の公開に踏み切ったものと見られる。〔Horticulture Week 2012/8/3〕

●GMナタネ混入で食品工場操業停止

 自社検査でナタネ・ミールからGM作物由来の原料が検出されたことを受け、スウェーデンの農業食品協同組合は工場を洗浄するために操業を停止し、該当する期間に製造された製品回収のため、顧客への連絡を開始した。問題のナタネ・ミールは、GMフリー作物を扱う業者が納入したものだった。 〔Agrimoney.com 2012/7/31〕

●北米事情
●GMリンゴ、米国でも認可手続き始まる

 カナダのオカナガン・スペシャリティ・フルーツ社は、茶色に変色しないように改変したGMリンゴ「Arctic Apple」の認可を求めて、カナダに続き、米国にも申請を行った。米国農務省(USDA)は一般意見公募を開始した。米国政府は、最終的な結論を出す前に、環境アセスメントの評価書を作成して公表することにしている。〔Canadian Biotechnology Action Network 2012/7/9〕

●オレゴン州でGMナタネ栽培中止命令

 米国オレゴン州の控訴裁判所が、ウィラミット・ヴァレーでのGMナタネ栽培の即時中止を命じた。一般からの意見公募を設けないまま、GMナタネ栽培を認める新たな暫定規則を制定した同州農務省に対して、農業経済や農家・市民にリスクを及ぼし、小規模農家や有機栽培農家に、GM汚染や耐性雑草の発生という修復不能な打撃を与えるおそれがあるとして、農業組織や種子生産者が訴訟を起こしていた。 〔Center for Food Safety 2012/8/16〕

●南米事情
●モンサント社、新GM大豆の特許料を吊り上げる

 モンサント社が今シーズン(2012/13年シーズン)に販売を計画しているGM大豆品種「Intacta RRpro」の特許料が高すぎるとして、ブラジルでは裁判所も巻き込んだ議論になっている。モンサント社は、高収穫量とラウンドアップ耐性に加え、この新GM大豆は、Bt遺伝子によって害虫の被害を防ぐことができると主張。農薬の散布回数を減らすと同時に、収穫量がヘクタールあたり6袋増えるので、農家の収益はヘクタールあたり346レアル増えるはずだ、と計算。そのため、すでに「ラウンドアップ・レディ」大豆に払う、ヘクタールあたり22レアルの5倍に相当する115レアルの特許料を求めた。これに農家が猛反発。リオ・グランデ・ド・スール州の農業組合は、特許料の計算方法が不当だとして、裁判所に訴えた。また、モンサント社は、害虫がBt遺伝子に耐性を獲得してしまうのを防ぐため、栽培面積の20%に、「Intacta RRpro」以外の大豆品種を植えて緩衝区域を確保するようにも求めている。 〔Soybean &Corn Advisor 2012/4/10〕

●虚偽広告でモンサント社に支払い命令

 ブラジルの控訴審は、GM大豆と除草剤グリホサートが環境保全に有益だという虚偽の宣伝広告をしたとして、モンサント社に対し、50万レアルの補償金の支払いと、正しい情報を伝える広告の掲載を命じた。一審でモンサント社は無罪となったが、原告側が控訴した結果、今回の逆転判決につながった。裁判官が原告側提出のデータを検証した結果、GMOは農薬使用量が少なくてすむという主張に根拠はないと、判決を覆した。また、この広告がテレビやラジオで放送されていた時期、ブラジル国内でGM大豆はまだ認可されておらず、違法な活動を助長したとも指摘した。 〔GM Watch 2012/8/22〕

●アジア事情
●中国で子どもへのGM稲人体実験

 米国の支援を受けた科学者グループが、中国で6〜8歳の子ども68人に対して、GM稲の「ゴールデンライス」を用いた安全性評価実験を行った。このGM稲は、動物実験での安全性が確認されておらず、いきなり人間で、それも子どもに実験を行った。 〔Greenpeace International 2012/8/31〕

●印マハラシュトラ州政府、GMOの社会経済的影響評価へ

 インド・マハラシュトラ州政府は、正式にモンサント社のBt綿種子の販売を停止し、同時にタタ研究所に、Bt綿がもたらす社会経済的影響の評価を求めた。研究所ではおもに地域社会への影響が調査され、3カ月後に報告書が提出される。 〔The Times of India 2012/8/7〕

●インドで、飼料用GM大豆ミール関税免除に

 インド政府が、飼料用大豆ミールの関税免除を認めたことに対して、同国の環境保護団体が強い懸念を示した。その理由として、外国産の大豆の多くがGM大豆である上に、この決定には同国の遺伝子工学承認委員会など規制当局が関与していない点を挙げている。 〔The Hindu Business Line 2012/8/2〕