■2012年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●国際条約
●GMO推進国がMOP6「社会経済的配慮」に抵抗示す

 10月1日より5日まで、インドのハイデラバードで、生物多様性条約カルタヘナ議定書第6回締約国会議が開催された。今年は、前回MOP5で成立した「名古屋・クアラルンプール補足議定書」における「責任と修復」問題のような際立った争点がなく、また次回以降に積み残す課題も多く、議論は全体的に低調だった。その中で最ももめたのが「社会経済的影響への配慮」だった。専門家会議の設置をめぐって、米国やモンサント社の意向を受けたパラグアイが強硬に反対したため、最終日ぎりぎりまで決着がつかず、最後は説得に折れた形となった。
 会議は日本からインド政府に議長国のバトンが渡され始まった。新たに就いた議長が冒頭、「沖縄におけるパパイヤ種子汚染の問題」にふれ、日本政府代表団が説明するという出来事が起きた。サイドイベントは数多く行われたが、日本の「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」が発表した、GMナタネの自生と三重菜花の自家採種中止問題が「The Hindu」紙に取り上げられるなど、日本が注目された。また、欧州科学者ネットワークが主催したサイドイベントでは、セラリーニの共同研究者であるフランス・カーン大学の研究者ロビン・メスナージが「GM動物実験」について述べ、反響があった。次回COP12・MOP7の開催国は韓国と決まった。

●EU事情
●キルギス共和国、GMO禁止法制定へ

 キルギス共和国がGMO禁止政策を導入することになりそうだ。与党の代表が議会経済財政政策委員会で、GMO禁止法案を説明した。またこの説明に先立ち、GM技術にかかわるドキュメンタリー映画を上映した。代表は「キルギスでは、GMOを含んだ作物・食品について、栽培、製造、輸入、販売を禁止する必要がある」と述べた。これを受けて議会は、政府に対して禁止の措置を講じるよう求めた。〔24KG news Agency 2012/9/24〕

●フランス新政権もGMO禁止政策を維持

 フランス新首相ジャン=マルク・エローは、これまでとってきたGMO禁止政策をさらに継続する、とパリで開催された環境会議で述べた。この会議は大統領が企画し、産業界、消費者、国会議員などが参加した、二日にわたる大規模なもの。フランスでは、EU内で唯一栽培が認められているモンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」の栽培を禁止している。〔Thomson Reuters 2012/9/15〕

●アジア事情
●インド政府農業委員会、GMO認可を業界圧力によるものと断定

 インド政府の農業委員会は、遺伝子工学承認委員会が業界や省庁の圧力を受けていたため、Btナスの認可に必要な調査を適切に実施しなかった、とする報告書をまとめた。また、規制・認可システムの背景に重大な利害の対立、癒着の問題があったとして、政府に対して一刻も早くバイオセーフティ、生物多様性、人や家畜の健康、環境保護などを包括する法規則を整備すべきだと提案した。また、消費者が必要な情報を得た上で選択・判断できるよう、GM食品への適切な表示も求めている。〔Economic Times 2012/8/10〕

●ベトナムは2015年までGM作物栽培せず

 アジアで次なるGM栽培国として注目されているベトナムだが、2015年までGM作物の商業栽培を行わないことが明らかになった。農業・地域開発省と米国大使館が共同で開催したバイオテクノロジー会議で、同省の栽培局局長が述べた。〔Tuoi Tre News 2012/8/14〕
●中東事情
●トルコの食品業界がGM食品輸入申請取り下げる

 トルコでは、消費者の間でGM食品への反発が強まっているが(本誌2012年9月号参照)、それを受けて大手食品業界団体の食品・飲料業界団体連合会(TGDF)が、29品目のGM食品の輸入申請を取り下げることを決めた。すでに食品農業省に、申請取り下げを伝える書簡を送ったという。これにはグリーンピース地中海によって始められた不買キャンペーンが大きく影響したようである。このキャンペーンには32万6000人が参加している。〔Hurriyet Daily News 2012/8/21〕

●南米事情
●アルゼンチンがGM種子保護法を準備

 アルゼンチン政府は、種子の知的所有権を保護する、バイオテクノロジーにかかわる法案を準備している、と農業大臣のNorberto Yauharが述べた。この法案は、GM種子を保護するためのもので、モンサント社のための法律だ、と地元紙は伝えている。〔NASDAQ 2012/8/21〕

●パラグアイ前大統領が新政権とモンサント社の癒着を批判

 パラグアイの前大統領フェルナンド・ルゴは、クーデターを起こし政権を奪った新政府に対して、「モンサント社と癒着している新政権は、パラグアイ国民に死と破壊をもたらす」と述べた。種子週間に農家や市民団体が開催した農業エコロジー・フェアに招かれた前大統領が、開会式で述べた。〔Prensa Latina News Agency 2012/9/19〕