■2013年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●遺伝子組み換え作物栽培の現状


 GM作物を推進している国際アグリバイオ事業団 (ISAAA)が、GM作物栽培の現状を発表した。この発表は、GM作物売り込みのプロパガンダの役割を果たしており、どこまで実態を反映したものか疑問がもたれている。

 2012年のGM作物栽培面積は1億7030万haになり、2011年より1030万ha増加している。最大の要因に、この1年間にブラジルで630万haも栽培面積が増加していることがあげられる。世界のGM作物栽培面積は、全農地(約15億ha)の1割強だが、米国、アルゼンチン、ブラジルの3大栽培国で1億3000万haを占め、栽培国が限定されている点も昨年同様である。栽培国は28カ国で、前年より1カ国減少した。2011年にジャガイモを作付けしていたドイツとスウェーデン、トウモロコシを作付けしていたポーランドが非栽培国となり、ヨーロッパからの撤退が顕著となった。カナダでは、ナタネの作付けが97.5%となり、非GMのナタネはほぼなくなった。作付けした1730万戸の農家の大半が中国とインドの農家で、それぞれ約720万の農家がBt綿を作付けしている。新たな栽培国はスーダンとキューバで、スーダンではBt綿を2万ha、キューバではBtトウモロコシを3000ha作付けしている。スーダンは、南アフリカ、ブルキナファソ、エジプトに続くアフリカで4番目の栽培国となった。〔ISAAA 2013/2/19〕


表1  遺伝子組み換え作物の作付け面積推移(万ha)
1996年 170
1997年 1100
1998年 2780
1999年 3900
2000年 4300
2005年 9000
2010年 1億4800
2011年 1億6000
2012年 1億7030
*参考:日本の国土面積は3780万ha
    世界の農地は約15億ha


表2 国別作付け面積(万ha)
米国 6950 大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、パパイヤ、アルファルファ、テンサイ
ブラジル 3660 大豆、トウモロコシ、綿
アルゼンチン 2390 大豆、トウモロコシ、綿
カナダ 1160 ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ
インド 1080 綿
中国 400 綿、パパイヤ、ポプラ、トマト、ピーマン
パラグアイ 340 大豆、トウモロコシ、綿
南アフリカ 290 トウモロコシ、大豆、綿
パキスタン 280 綿
ウルグアイ 140 大豆、トウモロコシ
ボリビア 100 大豆
フィリピン 80 トウモロコシ
オーストラリア 70 綿、ナタネ
ミャンマー 30 綿
ブルキナファソ 30 綿
メキシコ 20 綿、大豆
スペイン 10 トウモロコシ
その他* わずか
1億7030
*その他の国 チリ(トウモロコシ、大豆、ナタネ)、コスタリカ(綿、大豆)、コロンビア、スーダン(綿)、ホンジュラス、ポルトガル、チェコ、キューバ、エジプト、ルーマニア、スロバキア(トウモロコシ)


表3 作物別作付け面積(万ha)
世界 GM品種
大豆 10,000 8,100(81%)
トウモロコシ 15,900 5,565(35%)
綿 3,000 2,430(81%)
ナタネ 3,100 930(30%)
3億2,000 1億7,025