■2013年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●有毒なウイルス遺伝子の存在が明らかに

 これまで未発見だったウイルス遺伝子が、GM作物に含まれていることがわかり、安全性評価と承認方法に疑問が出されている。現在販売されているGM作物の安全性評価の際には、人間に毒性を有する可能性があるこのウイルス遺伝子の存在は明らかになっていなかったため、安全性の検証が不完全だったことになる。
 問題のウイルス遺伝子は、人間の食用および家畜飼料用に世界各地で栽培されているGM大豆やGMトウモロコシに含まれているという。これは欧州食品安全庁(EFSA)とベルギーのリエージュ大学の研究チームが明らかにしたもので、米国で現在承認されている86品種のGM作物のうち、54品種にこのウイルス遺伝子「Gene VI」が含まれているという。研究者は、「Gene VI」が予期せぬ変化をする可能性があり、その1つとして、人間に有毒なタンパク質を創りだす可能性があると述べている。〔Daily Mail 2013/1/21〕

●GM作物の展望、次は稲と小麦

 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、2012年のGM作物栽培面積の発表とともに、今後の見通しを明らかにした。2013年中の干ばつ耐性トウモロコシの作付け開始、3年以内にGMサトウキビの商業栽培の可能性、フィリピンではGM稲「ゴールデンライス」の作付け開始、トランス脂肪酸の含まれない大豆やオメガ3脂肪酸増量大豆が普及するだろう、と述べている。また、2020年までにはGM小麦の作付けも期待できるとして、今後の目標に稲と小麦の普及を据えていることを示した。〔Thomson Reuters 2013/2/20〕

●北米事情
●GM鮭のパブリックコメント期間延長

 米国食品医薬品局(FDA)は2月13日、2月末までとしていたGM鮭に関する一般からの意見募集期間を60日間延長すると発表した。すでに意見は30万件寄せられているという。申請者のアクアバウンティ・テクノロジー社は、「期間延長にかかわらず承認されることを確信している」と、見解を発表した。〔Food Navigator 2013/2/18〕

●ダウ社の新除草剤耐性トウモロコシの承認延期

 ダウ・アグロサイエンス社が開発したGMトウモロコシ「エンリスト」の米国での承認が、少なくとも1年延期されることになりそうだ。カナダはすでに去年10月に承認している。ダウ社は当初、2013年の作付けシーズンに合わせた販売開始を目指していたが、2014年以降に延期になる。「エンリスト」品種は、2,4-Dとグリホサートを混合した「エンリスト」除草剤を用いるもので、トウモロコシに続きGM大豆やGM綿の「エンリスト」品種も売り出したい考えだ。だが、すでにモンサント社の除草剤耐性作物によって耐性雑草の拡大が問題になっており、ここで異なる種類の除草剤を散布すれば、さらなる耐性獲得につながる恐れがあると懸念が強まっている。〔Reuters 2013/1/18〕

●中南米事情
●ブラジルの特許紛争、モンサント社が法廷外で蠢く

 ブラジルの大豆農家がおこした、モンサント社のGM大豆種子の特許権使用料をめぐる集団訴訟は、2012年4月、州裁判所が課金を暫定的に差し止める判決を下した。モンサント社は控訴したが、このほど同社は原告の農家に対して、特許権使用料の返金を求める訴えを取り下げればGM大豆の特許権使用料を2年間無料にする、ともちかけているという。農家が同意すれば、GM大豆の栽培は継続され、今後控訴審で負けても使用料を返金せずに済む。農民団体は、モンサント社の同意書に署名しないよう原告農家に呼びかけている。〔GM Watch 2013/1/24〕


●GM作物栽培禁止がすすむコスタリカ

 コスタリカ政府はモンサント社のGMトウモロコシの野外試験栽培を承認した。これにより同国でGMトウモロコシが1〜2haの畑で栽培されることになった。しかし、環境保護団体がおこした、GMトウモロコシの野外栽培停止を求める訴訟に対し、最高裁は承認停止の判決を下した。〔La Red Por una America Latina Libre de Transgenicos 2013/2/1〕
 2月5日、コスタリカのサン・ジョセ市議会は満場一致で、GM作物栽培とGM食品の販売を禁止する決議を採択した。同国では、これまでに25の地方政府が同様の決議を上げている。〔The Tico Times 2013/2/6〕


●EU事情
●WTO加盟に向け、セルビアのGMO禁止政策見直し

 セルビア政府は、WTO(世界貿易機関)加盟に向けて動いているが、加盟の前提条件として、2008年に決定したGMO禁止政策の見直しが求められている。WTO加盟国は、GM作物の栽培は禁止できるが、輸入禁止は認められない。〔Southeast European Times 2013/2/23〕


●ロシアでGMO管理法がまもなく可決へ

 ロシア連邦議会はまもなく、GMOを含むすべての製品に関して登録を義務づける法案の可否を問う。現在同国では、10種類のGM作物を承認、作付けの可能性も指摘されている。しかし、野放しの状態にあるため、管理するのが狙いと見られる。〔All About Feed 2013/2/1〕

●アゼルバイジャンでGM作物が許可制に

 アゼルバイジャン国会で、GM作物の栽培・流通を許可制にする法案が可決・成立した。これにより、許可されないとGMOの栽培や流通ができないことになる。〔Azerbaijan Business Center 2013/2/1〕


●欧州委員会がGM花粉混入蜂蜜の承認制度をなくす?

 2011年9月、欧州司法裁判所が、花粉は蜂蜜の原料であり、GM花粉を含んだ蜂蜜は安全審査を経て承認され、表示されないと販売できない、という判断を下した。それに対して欧州委員会はこのほど、花粉は蜂蜜の原料ではなく成分である、とする提案をした。GM原料はすべて表示しなければならないが、蜂蜜の総重量の約0.1%にすぎない花粉が「成分」ということになれば、0.9%以下となり、表示しなくてもよいことになる。〔GM Freeze 2013/2/11〕