■2002年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●クローン技術で異常報告続出


 先に、体細胞クローン牛の肉と牛乳に対して、日米の公的機関で「安全」が宣言された(本誌2002年10月号参照)が、9月16日付ワシントン・ポスト紙は、体細胞クローン牛の牛乳が、来年早々に市販される可能性があると報じた。
 しかし、クローン動物に異常が多いことはたびたび報告されている。最新の研究では、米国ボストンにあるホワイトヘッド生物医学研究所ゲノム研究センターのルドルフ・イェーニッシュらによる全米科学アカデミー紀要での報告がある。それによると、体細胞クローン・マウスの約1万個の遺伝子を調査した結果、胎盤では25個の遺伝子の内1個に異常がみられ、肝臓でも、遺伝子に異常がみられた。同博士は、「クローン動物の異常が多いのは、こうした異常遺伝子の発現の結果かもしれない」と述べている。
 クローン牛開発そのものも、BSE対策にともない、足下が揺らいでいる。これまで開発に用いる卵子は、屠畜場で取り出した卵巣からのものを使用していた。BSEチェックのための全頭検査が始まり、検査が終わらないと持ち出せないため、屠畜直後の新鮮な卵子が使用できなくなった。ただでさえ微妙な条件に左右されやすいクローン牛誕生の割合は、さらに低くなると予想されている。
〔Norfork Genetic information Network(ngin) 2002/9/11ほか〕