■2002年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え食品
オレゴン州のGM表示制定に圧力

 米国初のGM表示条例を検討しているオレゴン州に対して、米国食品医薬品局(FDA)は、10月4日、州知事へ「GM表示は不必要」「FDAの指針に反する」と圧力をかけた。また、農家・食品メーカー・モンサント社などが総額600万ドルをかけた反対キャンペーンを行い、最終的に表示法案は否決された。
〔オーガニック・コンシューマー・アソシエーション、2002/10/8〕
 FDAはまた、有機食品を取り扱う企業に、「GMフリー」表示を削除するよう要求している。そのため、GMフリー表示を小さくしたり、削除する企業も出ている。   
〔AP、2002/10〕

GMを懸念、カナダ蜂蜜売上減少

 カナダではナタネの全作付け面積の約半分が遺伝子組み換えになっているが、菜の花の蜜はカナダ産蜂蜜のおもな原料になっている。最近、遺伝子組み換え作物に対する危惧からカナダ産蜂蜜を避ける国、商社、消費者が増えつづけ、その売上が以前の半分以下になってしまった。それでもブレンド蜂蜜、複数原産国製品として販売されたり、加工品の原料として用いられている。
 英国では、養蜂業者は、蜂の巣を遺伝子組み換え試験農場から6マイル(9.4キロ)離すこととしている。 〔Genetic Food Alert 2002/9/11〕

有機大豆製品のGM混入、原因は工場での混入

 有機食品から遺伝子組み換え大豆が検出された件に関して(本誌2002年10月号)、製造工場に立ち入り調査した農水省総合食品局品質課は、「おもに工場での混入が原因」との見解を発表した。有機ではない通常の大豆を使用していた文京区・太田屋、町田市・丸昌商店の2工場を悪質なケース(JAS法違反)と指摘し、その他は、意図的に混入したものではないため不問に付すことになった。

●遺伝子組み換え作物
中国のGM規制が再延期

 中国国務院は、遺伝子組み換え生物に関して3つの管理規則をつくり、今年3月20日から運用を始めた。この規制に対して大豆輸出国の米国が圧力をかけ、暫定認可という形で輸入を継続させてきた(本誌2002年6月号)。 
 10月18日、米通商代表部(USTR)のゼーリック代表は、12月15日に期限切れとなるこの暫定措置を、さらに9カ月延長することに中国と合意したと発表した。

ニュージーランドで禁止GMコーン発見

 ニュージーランドで、禁止されている遺伝子組み換えトウモロコシの栽培地が見つかった。原因については、米国から輸入した種子に混ざっていたためと推定されているが、発見された約800株はすべて廃棄され、畑は政府の監視下におかれている。 〔Just-Food.com 2002/10/3〕

農水省、GM飼料安全性審査、法規制へ

  農水省は、遺伝子組み換え飼料の安全性評価を従来の指針から「飼料安全法」による法的規制に変え、来年度実施に向けて今年中にも省令を告示する。これまでの指針による安全性評価は、単なる倫理的な規制で、罰則がないため実効性がなかった。すでに厚生労働省が、安全性審査を法律で義務化したが、それにつづくものである。
 しかし評価の内容は従来とほとんど変わりないうえ、新たに未承認作物1%未満の混入を認めるなど、飼料メーカーに配慮した内容になっている。

GM品種と従来品種の交配研究報告

 遺伝子組み換え作物と雑草など在来種植物との交配に関する研究報告が、2件発表された。
 米オハイオ州立大学の研究チームが、ヒマワリの種子を食べる害虫に抵抗力をもつGM品種を野生のヒマワリと交配したところ、植物の害虫への抵抗性が強くなり、種子量が50%増加したという。仏リール大学の研究チームは、GM品種と野生種の交配が起きることをテンサイで確認し、収量の減少傾向を報告している。野生種に想定外の変化が起きることが、改めて確認された。
〔ガーディアン、2002/8/15〕

メキシコの在来種で遺伝子汚染拡大か?

 メキシコ国立生態研究所が行った、遺伝子組み換え品種の在来種への遺伝子汚染が広がっているという報告がメキシコシティのLa Jornada紙に掲載された。カリフォルニア大学バークレー校の研究者が問い合わせたところ、採取した従来品種の7%にGM品種由来の物質が見つかったという。
 「メキシコの従来種トウモロコシに遺伝子組み換えトウモロコシによる遺伝子汚染が起きている」とするバークレー校の研究報告はNature(2001年11月)誌上で大きな論争に発展し、2002年4月にはNature誌が一連の反論投書とともに「誌上に掲載するのに充分な根拠がある研究報告とはいえなかった」とする「お詫び」を掲載して一旦幕を閉じていた(本誌2002年3、6、7、10月号)。昨年以来つづいている、この論争に影響を及ぼすものと思われる。〔サンフランシスコ・クロニクル、2002/8/26〕

筑波大学で許可なし栽培

 筑波大学遺伝子実験センターの圃場で、無許可で遺伝子組み換えトウモロコシが栽培されていたことが明らかになった。品種は、シンジェンタ社(スイス)のイベント176で、除草剤(バスタ)耐性と害虫抵抗性を組み合わせたトウモロコシである。すでに飼料や食品用の輸入は承認されているが、国内作付けは認められていない。〔日本農業新聞ほか、2002/11/06〕


●遺伝子組み換え樹木
遺伝子組み換え松が登場


 テキサス州農業試験場が遺伝子組み換え松を開発した。テーダマツという品種で、乾燥や病害虫に強い性質をもたせている。この松の遺伝子型は、組織培養による植物の再生が難しいことから、アグロバクテリウムを直接植物の分裂組織に接種して組み換え体をつくる方法で再生させた。同試験場はこの方法を特許申請している。〔テキサス農業試験場プレスリリース、2002/9/6〕