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今月の潮流●医薬品をつくる遺伝子組み換え作物による遺伝子汚染
遺伝子組み換え作物に医薬品などをつくらせる、「分子農業」の業界最大手プロディジーン社による遺伝子汚染事件がこのほど発覚した。同社は、アイオワ州とネブラスカ州で下痢止め経口ワクチン産生トウモロコシを作付けしていたが、収穫後に残った作物の処理を怠ったため種子がこぼれ落ち、翌年同じ農地につくられた大豆とともに、自生した遺伝子組み換え作物も一緒に収穫されてしまった。
食品医薬品局と農務省は、食品混入の可能性のあるすべての大豆の廃棄を命じた。
一方、食品医薬品局と農務省は、医薬品産生遺伝子組み換え作物を作付けする際のガイドラインをつくり、パブリックコメントを求めている。このガイドラインは、2002年8月2日の米連邦政府科学技術政策部門の発表を受けたもので、医薬品を製造するための遺伝子組み換え作物の開発や、作付けを行う際のマニュアルにあたる。
ガイドラインでは、作付け地・作物などを制限し、コーンベルト地帯での試験栽培・商業栽培はいずれも行わないように規制している。しかし、作物はトウモロコシに限定されていて、稲、大豆、大麦、煙草などの自家受粉作物は規制の対象外となっている。
今、遺伝子組み換え作物開発メーカーは、消費者の抵抗が大きい食品分野から、支持を得やすい医薬品分野に方向を転換しつつある。
この種の事件は今後、医薬品産生遺伝子組み換え作物の開発が増えれば、避けられまい。花粉による遺伝子汚染も起こるだろう。 |
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