■2015年8月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●南米事情
●アルゼンチンでGMO禁止と環境修復を求める裁判開始

 アルゼンチン連邦裁判所は、GM作物とそれに用いる除草剤の使用禁止を求めた集団訴訟の裁判を開始する。訴訟では、環境保護、生物多様性の保全、人々の健康を守り、文化遺産としての農業の保護を求めている。また、GM作物栽培がもたらした環境被害の修復、さらには修復ができない場合は賠償するよう求めており、前例のない大規模な裁判になる。被告は、アルゼンチン政府、国会、モンサント社、シンジェンタ社、デュポン社など。
〔Sustainable Pulse 2015/6/22〕

●米国政府がコスタリカ政府に圧力

 米国大使がコスタリカ政府に対して、GM作物を受け入れるよう圧力をかける書簡を送っていた。同国ではすでに81自治体の内74でGM作物栽培を禁止している。コスタリカ最高裁憲法室が憲法違反を認め、GM作物栽培認可を取り消す判決を下している。大統領も在来のトウモロコシを文化遺産に指定し、GMトウモロコシに反対の意向を示している。にもかかわらず、このような圧力をかけるのは、食料主権を奪うGMO植民地主義だとして、同国の科学者が声明を発表した。〔Costa Rica Star News 2015/6/23〕

●アフリカ事情
●アフリカのGM綿栽培は不成功

 アフリカでは、南アフリカ、スーダン、ブルキナファソでGM綿が栽培されているが、成功していない。なぜならアフリカの農業はほとんどが小規模農家で、GM綿栽培は小規模農業に適していないからである。今後、マラウイ、ガーナ、スワジランド、カメルーン、ナイジェリア、エチオピアなどでも計画されているが、同じ轍を踏む可能性が大きい。〔Inter Press Service 2015/6/15〕

●南アの政党がGM作物禁止を求める

 南アフリカのインカタ自由党は、GM作物は人への安全性が確認されておらず、安全性が確認されるまでは栽培を禁止すべきだと、政府に求めた。インカタ自由党は、南アで最大の民族であるズールー人の権利を主張している。〔Eye Witness News 2015/6/10〕

●ガーナの小規模農家GM作物反対運動開始

 ガーナの小規模農家がGM作物反対運動を開始した。ガーナでは、全人口の約80%が小規模農家で、農村労働力の約90%を占めている。運動を中心になって取り組んでいる農業労働者組合は、GM作物はガーナの農村を破壊する、と指摘している。〔Spy Ghana 2015/6/19〕
●アジア事情
●ベトナムで新たなGMトウモロコシの試験栽培始まる

 今年中にもGMトウモロコシの商業栽培が始まろうとしているベトナムで、新たなGMトウモロコシの試験栽培が北部ビンフー省フート市で始まった。これまで栽培が認められたトウモロコシは、モンサント社傘下デカルプ・ベトナム社とシンジェンタ・ベトナム社の各2種類、計4種類だが、今回、試験栽培が始まったのは、デカルプ・ベトナム社が開発した除草剤耐性と殺虫性を併せ持つ性質のトウモロコシ6種類。〔Viet Nam Net 2015/6/19〕

●GM食品
●GMチーズの生産量増大

 米国と英国で生産されるナチュラルチーズの80〜90%が、遺伝子組み換え酵素を用いて生産されている。もともとナチュラルチーズは、仔牛の胃でできる酵素(レンネット)を用いて牛乳を固めていたが、仔牛を殺して得なければならないため、わずかしか生産できなかった。しかし、レンネットの主成分キモシンを遺伝子組み換え技術で量産して作るようになり、ナチュラルチーズの生産量は飛躍的に増大した。平均的な米国人のチーズ消費量は、1970年に比べ2013年には約3倍になった。〔IO9 2015/6/16〕

●GM汚染
●動物実験用飼料にGMO汚染

 実験用動物の飼料が農薬やGMOなどで汚染され、まともな実験ができない事態に陥っている。分析したのは13サンプルで、262種類の農薬、4種類の重金属、17種類のダイオキシン類、18種類のPCB類、22種類のGMO。その結果、13のサンプル中9サンプルでグリホサートが、11サンプルでGMOが検出された。依頼者はフランスの民間団体CRIIGENで、分析したのはフランス・カーン大学セラリーニらの研究チーム。〔CRIIGEN 2015/6/17〕