■2003年2月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





















































































バイオジャーナル

ニュース


●企業動向
モンサント社の最高経営責任者が辞任

 モンサント社のヘンドリック・バーフェイリー最高経営責任者(CEO)が、2002年12月18日に辞任した。理由は明確にされていないが、経営状態の悪化が引き金であるとされている。ヨーロッパなど世界的なGM作物への逆風に加えて、アルゼンチンで作付けを拡大してきたため、同国の経済悪化が影響したようだ。東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド、北米での工場の統廃合や人員整理が発表され、フランク・アトリー3世がCEOを暫定的に引き継ぐことになった。 〔ロイター 2002/12/18〕

●海外動向
欧州環境相理事会も新表示規則に合意

 2002年11月23日の欧州農相理事会の遺伝子組み換え食品・飼料に関する新表示規則合意(本誌1月号)につづいて12月9日、欧州環境相理事会も合意した。ルクセンブルク、オランダ、英国などが反対したものの、多数国が賛成した。最高決定機関である理事会の相次ぐ合意によって障壁はなくなり、今年夏までには欧州議会(第2読会)で可決され、正式な規則として来年から施行される見通しとなった。 〔ロイター 2002/12/9〕

●遺伝子組み換え作物
アルゼンチンで農家の経営悪化

 米国に次ぐ世界第2位の遺伝子組み換え作物作付け国アルゼンチンでは、遺伝子組み換え大豆の作付けがさらに拡大し、2002年には全大豆畑面積の95%、全農地の40%以上に達している。大豆の生産量が増えつづけてきているのは、栽培面積が拡大したからである。しかし単位面積あたりの収穫量は、非組み換えの従来品種に比べて5〜6%も減少している。農薬の使用量もスーパー雑草の出現などによって従来の2〜3倍も必要になり、栽培コストが14%増となった。さらに大豆価格の暴落が起き、農家の経営状態は悪化している。農地拡大のために森林伐採も増え、農薬使用の増大によって環境や土壌は悪化し、生態系への影響も出ている。〔エコロジスト誌 2002/10〕

インドがGMカラシナの認可を延期

 インドの遺伝子技術認可委員会(GEAC)は、2002年11月15日に遺伝子組み換えカラシナの認可を延期した。ドイツに本拠を置く多国籍企業グループのBayer AG, Pro Agro Seen社が申請していた品種である。同委員会は、2002年3月にモンサント社のBt綿を遺伝子組み換え作物として初めて認可したが、それにつづく予定だった。
 GEACのメンバーの一部が、カラシナの葉がそのまま食卓にのぼるため、食品としての安全性に疑問を呈し、また、同国で伝統的につくられてきたカラシナとの交雑が起きることも懸念されたことによる。インドは中国、EU、カナダにつぐカラシナの生産国である。
〔ロイター 2002/11/7など〕

理研がブルガリアでGMタバコを野外実験

 理化学研究所の植物科学研究センター環境植物研究グループは、遺伝子組み換えで開発した耐病性タバコを、ブルガリアで野外実験する。このタバコは、野火病菌に抵抗性をもつもので、共同研究者はブルガリアのアグロ・バイオ・インスティテュート。2003年中にも圃場実験が始まる。 〔日経バイオテク 2002/12/16〕

フィリピンでBtコーン認可される

 フィリピン農業省・植物関連産業局は12月5日、遺伝子組み換え作物としては初めて、モンサント社のBtコーンの商業作付けを認可した。遺伝子組み換え作物に反対する農民団体などによって、実験圃場での引き抜きが行われるなど抵抗が強まっていたが、米国に配慮した形で認可された。