■2003年5月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●遺伝子組み換え生物規制法が施行へ


 生物多様性条約のカルタヘナ議定書をめぐり、政府は、3月14日に同議定書の批准を正式に閣議決定した。また、18日には対応する国内法「遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律案」を閣議決定、今国会に提出し4月15日から審議が始まった。同法成立後に議定書の批准を行うことになっている。

 議定書は、貿易などで遺伝子組み換え生物が国境を越えて移動する際の安全を確保するのが目的で制定された。法案は、それに対応する初めての遺伝子組み換え生物規制法である。財務省、文部科学省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省、環境省の6省がかかわる横断的な法律で、環境省が中心になって作成した。

 この法律によって、遺伝子組み換え生物を開発した企業は、従来の安全性評価に加えて、新たに生物多様性への影響評価が義務づけられる。これまでは作物の場合、農林水産省の認可を得て作付けを行い、厚生労働省の認可を得て食品として流通してきたが、それに加えて環境省の認可も得なくてはならなくなる。しかも新たな科学的問題点が明らかになった際には評価の見直しを迫られる。ただし、審査や再審査の方法はまだ決まっていない。

 この法律が実効力を伴った規制法となるか否かは、審査に当たる専門委員会のメンバーの構成と、情報公開、市民参加の実現にかかっている。今回提出された法案は、その点が不十分であるが、今後、付帯決議や政省令でどれだけカバーし、より効力をもつものになるかが焦点になる。