■2018年6月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●加州でラウンドアップに「発癌物質」表示義務付け

米国カリフォルニア州の上訴裁判所はモンサント社の上告を棄却し、同州政府環境衛生局の決定どおり、グリホサート(除草剤ラウンドアップの主成分)に「発癌物質」表示を義務付ける決定を支持した。これにより7月1日以降同社は、カリフォルニア州でラウンドアップを販売する場合、発癌物質である旨の表示を行わなければならない。〔Metropolitan News-Enterprise 2018/4/20〕


●ナタネに続き、ゲノム編集大豆商業栽培へ

米国カリクスト社は4月5日、ゲノム編集大豆の商業栽培を開始すると宣言した。この大豆は「高オレイン酸大豆」で、すでに農務省は規制の対象ではないと評価している。75農家、1万6000エーカー(6500ha)で栽培を予定しており、サイバス社の除草剤耐性ナタネに続く2番目のゲノム編集作物になる。米国農務省は3月28日、繊維分を増やすようゲノム編集で改造された小麦を規制対象外とした。開発は同じカリクスト社である。同社は、2021年からこの小麦の商業栽培を行なう予定である。その他にもカリクスト社が開発し、農務省からお墨付きを得たゲノム編集作物にウドンコ病抵抗性小麦があり、この小麦はすでに昨年7月からミネソタ大学と共同で試験栽培が始まっている。〔Calyxt 2018/4/5〕

●モンサント、スタック品種GM大豆の米国内販売断念

モンサント社は、除草剤耐性と殺虫性を併せ持つスタック品種大豆の米国内での販売計画を断念した。2013年に、除草剤ラウンドアップ耐性に殺虫毒素Cry1Ac産生を併せ持つ品種「Intacta RR2 PRO大豆」を南米で初めて販売した。さらに次世代の大豆として、除草剤ジカンバ耐性に殺虫毒素Cry2Ab2を併せ持つ「Intacta RR2 PRO大豆」を開発し、2021年頃には南米市場に導入する予定である。しかし、米国内ではこれらの大豆の需要が見込めないとして、販売計画は中止になった。〔DTN The Progressive Farmer 2018/5/9〕

●米国内のGM鮭養殖施設認可される

米国食品医薬品局(FDA)は、GM鮭を開発したアクアバウンティ・テクノロジーズ社が申請していた新動物医薬品申請書を承認した。申請にはインディアナ州アルバニー近郊にあるGM鮭の養殖施設設置が入っており、これにより米国内での養殖が可能になった。これまではカナダで受精卵を孵化させ、主にパナマで養殖されてきた。しかし、いまだ米国内でGM鮭の販売はできない。〔Star Press 2018/4/26〕


●FDAのグリホサート残留検査結果公表せず

FDAは過去2年間にわたって食品中のグリホサートの残留検査を行なっているが、いまだ公表していない。検査はGM作物の拡大とともに除草剤の使用量が増えているためだとし、グリホサート以外にジカンバや2,4-Dの検査も進めている。〔The Guardian 2018/4/30〕


●南米事情
●GM作物栽培による世界最大の農薬消費国ブラジル

ブラジルの国立癌研究所のホセ・アレンカ・ゴメス・ダ・シルヴァは「GM作物がブラジルを世界最大の農薬消費国にしている」と指摘した。農薬使用量は国民一人当たり5.2リットルで、売上額は2001年の20億米ドルから11年には85億米ドルに増えている。〔GM Watch 2018/5/9〕


●グリホサート高汚染地域で流産、先天異常多発

アルゼンチンのGM大豆やGMトウモロコシ栽培地モンテメイズ町で、通常の3倍の流産と2倍の先天異常が起きている。調査結果を発表したのは医師のメダルド・アビラ-バスケスらで、論文は「環境保護ジャーナル」誌に掲載された。調査では、流産と先天異常とともに土壌・水・穀物の殻の残留農薬が測定された。農薬の種類は、グリホサートとその代謝物のAMDA、クロルピリホス、エンドスルファン、シペルメトリン、アトラジン、2,4-D、エポキシコナゾールである。この地域では、年間975トン、グリホサートだけで650トンの農薬がまかれている。グリホサートの使用量は1人当たり79kgに達し、土壌・穀物の殻からは他の農薬の約10倍検出された。5年間の流産率は国平均の3倍に達し、先天異常は2倍に達した。先天異常には、神経系、生殖器、四肢、腎臓及び泌尿器系、消化器系、心臓、口唇裂が含まれている。〔Journal of Environmental Protection 2018-9/241-253〕