■2018年6月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●欧州事情
●欧州でゲノム編集規制をめぐるロビー活動活発化

 EUでは、ゲノム編集など新しいバイオテクノロジーを規制の対象からはずすためのロビー活動が活発化している。企業だけでなく研究者も動いており、その代表格がドイツの生物学者の組織VBIOで、代表のベルント・ミュラー・レーバーは積極的に欧州議会に働きかけている。「VBIOは本来、政治的、イデオロギー的に中立であることが求められている組織であるはずだ」と市民団体のテスト・バイオテクは述べている。〔Test biotech 2018/5/2〕
●アジア事情
●パキスタンがGM米の検査強化

 パキスタン政府がGM米の輸出入検査の強化方針を打ち出し、食品安全省植物防疫部に指示した。パキスタンではGM米は栽培されていないが、出荷した米からGM米が検出されEUで輸入が拒否され、パキスタン米輸出協会が強い懸念を示していた。今回の方針はそれを受けてのものである。〔The NEWS 2018/4/26〕


●日韓台でNon-GMOアジア・フォーラム設立

 5月8日、台湾の首都台北で遺伝子組み換え食品をテーマにしたシンポジウムが開催された。主催は学校給食22(School Lunch Project)と学校給食GMOフリー・キャンペーン(GMO Free School Campaign)。22は台湾の県単位の自治体数を示す。協賛は、台湾主婦連(Homemakers Union Consumers Co-op)と台湾GMOフリー推進連盟(GMO Free Campaign in Taiwan)で、学校給食のGMOフリーを目指した集会である。集会では、台湾大学名誉教授の郭華仁(Warren KUO)が、台湾におけるGMOの歴史を報告、日本や韓国に比べ遅れていた台湾のGMOの食品表示や規制が、現在は最も進んでいる経緯が述べられた。最後に、「昨日5月7日、台湾の国会で有機農業推進法が可決した。日本、韓国に続き台湾でも可決したことで、世界で単位面積当たり最も農薬を使用している6か国の内の3か国、日本・韓国・台湾が有機農業を推進すれば、世界から農薬を大きく減らすことができる」という発言で締めくくった。同日、Non-GMOアジア・フォーラム結成式が行われ、3か国の市民が今後緊密に連絡を取り、連携して取り組むことが合意された。
●GM昆虫
●GM蚊放出実験は失敗か

 GM蚊の放出実験はこれまで英領ケイマン諸島、マレーシア、ブラジルなどで行なわれ、開発者の英オキシテック社は成果を報告してきた。しかしMRCU(Mosquito Control and Research Unit)の報告によると、ケイマン諸島の放出実験では、減少するはずの人を刺す雌の蚊が、かえって増えていたことが明らかになった。また、新たな懸念材料として、GM蚊の生産施設にカビが発生しており、それが実験に影響を及ぼす可能性が指摘されている。〔GM Watch 2018/5/14〕

●企業動向
●BASF社がゲノム編集種子開発へ

 独バイエル社が米モンサント社を買収するにあたり、一部の事業を独BASF社に売却することが条件になった。そのためBASF社は70億ドルでバイエル社の種子と農薬事業の一部を購入したが、それを基にゲノム編集技術を用いた種子開発に取り組むことになった。〔Bloomberg 2018/4/12〕

●省庁動向
●新しいゲノム編集稲、野外試験栽培開始

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は4月20日、血圧を下げる機能を持つというノボキニン能改変稲と、ゲノム編集で開発した収量増を目的としたシンク能改変稲の、今年度の栽培実験計画書を発表した。さらに5月1日には、神戸大学の西田敬二らが、筑波大学、名城大学の研究者と共同で、ゲノム編集技術「ターゲットAID」で開発した稲の栽培実験計画書を発表し、野外での試験栽培を6月下旬から始めると発表した。ターゲットAIDとは、制限酵素を用いてDNAを切断するのではなく、シトシン塩基をチミン塩基に置き換えて遺伝子の働きを止める方法である。この技術を応用した作物としては初めての試験栽培となる。西田らは稲とトマトで実験してきたが、今回は除草剤(アセト乳酸合成酵素阻害剤)耐性稲で行なう。あくまで技術の実証性を見るもので、将来的には飼料用稲や大玉トマトなど実用性の高い品種で取り組むという。