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今月の潮流●遺伝子組み換え稲、野外試験認可相次ぐ
4月3日、農水省は3件の遺伝子組み換え生物について、指針に適合したとして野外での試験等を認可した。そのうちの1件が、岩手生物工学研究センターが開発した、低温耐性稲(Sub29-17)の隔離圃場での試験承認である。4月20日には、同センターが北上市で地元説明会を行った。
この稲は、除草剤耐性と耐冷性を示すグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)遺伝子を導入したもので、すでにタバコでは実験済みである。
岩手生物工学研究センターは、岩手県の100%出資により1992年4月に設立された。岩手県は、地方自治体のほとんどが遺伝子組み換え作物の開発から撤退つつある中で、遺伝子組み換えメロンを研究する島根県と並び、GM作物開発に積極的な自治体である。これまで、稲の耐冷性や耐病性に関与する遺伝子のデータベースづくり、イモチ病抵抗稲、遺伝子組み換え酵母を用いた清酒、パパイア、イチゴ、シイタケ、大豆などの研究を行ってきた。
4月28日、農水省はさらに9件の遺伝子組み換え作物について、野外試験を認可した。稲に関しては2件で、農業生物資源研究所の稲は一般利用、農業技術研究機構作物研究所の稲は隔離圃場利用が認められた。
農業生物資源研究所の稲(PE2、PE84)は、トウモロコシの遺伝子を導入して光合成を活性化させ、成長をコントロールし、コメ粒を大きくさせたもの。農業技術研究機構作物研究所の稲(HW1、HW5)は、稲の遺伝子を使って必須アミノ酸であるトリプトファンを高蓄積させたものだ。今回承認された稲は、いずれも純国産開発稲で、しかも従来の除草剤耐性・殺虫性とは異なる点に特徴がある。 |
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