■2019年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●日本のゲノム編集研究・開発は野放し状態に


 日本におけるゲノム推進の仕組みが出そろいつつある。環境省は、昨年7月から始めたカルタヘナ法での取り扱いについて、2月8日最終的な方針を示した。これまでの専門家による審議等と一般からの意見募集を踏まえたものだが、慎重な意見はことごとく無視されている。厚労省の食品衛生法での取り扱いについては、昨年9月から始まった専門家による審議等を経て1月17日に報告書がまとめられ、2月5日に東京で、2月8日に大阪で説明会を開き、2月24日までに一般からの意見募集を募り、3月末には最終的な方針が示される。このままではゲノム編集食品の食品衛生法に基づく食の安全審査は、カルタヘナ法に基づく環境影響評価よりもさらに規制が緩やかになるであろう。

この動きと並行して厚労省と文科省が、生命倫理上の扱いについて、ゲノム編集技術の受精卵への適用という方向に舵を切った。昨年9月28日、厚労省と文科省は合同有識者会議を開き、指針案をまとめた。そこでは基礎研究に限定し、人間の受精卵にゲノム編集を用いることを容認した。これまで、いっさい認められてこなかった、人間の受精卵に対しての遺伝子操作を容認したのである。12月4日には文科省、12月13日には厚労省が相次いで新指針を作成し、2019年4月から運用が始まる。
これらの決定により、規制のないゲノム編集技術の扱いがすべて出そろい、新年度から研究開発の動きが加速することが予想される。