■2019年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国のGM食品表示制度の詳細決まる

 2018年12月20日、米国農務省は、遺伝物質が検出されない場合は表示しなくてもよいとする、新たな遺伝子組み換え(GM)食品表示制度の基準を発表した。そのため日本同様、多くの食品が表示を免れることになった。表示を免れたのは、砂糖、異性化糖、植物油などである。米国のGM食品表示はGMOではなく「バイオエンジニアリング(BE)」と表示され、しかもQRコードでの表示が可能で、読み取れる機器を持たない人にはわからない、消費者にはわかり難いものである。小規模食品製造業者を除き2020年1月1日から実施されるが、2021年12月31日までは任意で、実際の義務化は2022年からである。〔ISAAA 2019/1〕


●カナダ政府がグリホサートを再承認

 カナダ保健省は、定期的な農薬の再承認手続きで、除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートを再承認した。同国でグリホサートは40年間使用されており、現在130銘柄が販売されている。再承認について環境保護団体のFoE(Friends of the Earth)カナダは、訴訟を含めて対抗措置をとることを明らかにした。〔The Star 2019/1/30〕


●米国でジカンバ耐性大豆が拡大

 今年に入り、米国では中西部を中心に、除草剤ジカンバ耐性大豆「Xtend大豆」を購入する動きが強まっている。この3年間で使用割合が増加し、米国内での大豆生産の60〜75%を占めるまでになり、ラウンドアップ耐性大豆に取って代わったといえる。今年に入り増加した最大の原因は、ジカンバの散布により大豆を含む作物が枯れるという大変な被害が生じたことがあげられる。ラウンドアップ耐性だと枯れてしまうが、ジカンバ耐性に切り替えることで、その被害を免れようとする動きが強まっているからのようだ。〔OPB 2019/2/7〕


●除草剤ジカンバによって蜂が大量死

 環境保護団体が連合で、ジカンバが揮発して漂流し、蜂の大量死を引き起こしている、と米国環境保護庁(EPA)に警告した。すでに9年前に農業生態学者デビッド・モーテンセン(David Mortensen)が警告していた。とくにミツバチの大量死は蜂蜜の減産にとどまらず、受粉に影響して農作物全体に深刻な影響をもたらしている、と指摘している。〔Reveal 2019/1/23〕


●米アグリビジネスが対英政策で圧力を求める

 米国のアグリビジネスはトランプ政権に対して、英国がEUを離脱した際には、食糧や環境に関する規制を緩和するよう圧力をかけるよう求めた。主にGM作物、農薬、食肉関連をターゲットにしている。〔UnEarthed 2019/1/18〕


●欧州事情
●仏独で禁止GMナタネ見つかる

 独バイエル社は2月6日、同社が販売しているナタネの種子から微量のGM種子が見つかったこと、その直後にフランスの農民が約8000ha、ドイツの農民が約2500〜3000haのナタネ畑を掘り起こしたことを発表した。見つかったのは「デカルプ」ブランドで販売しているナタネで、欧州では栽培が禁止されている。デカルプ社はモンサント社によって買収されており、そのモンサント社もバイエル社に買収されている。バイエル社は農民に対して仏独合わせて2000万ユーロの損害賠償を支払うと発表した。〔Reuters 2019/2/6〕

●EU農業長官が欧州司法裁判所の判決回避を検討

 EUの農業長官のフィル・ホーガン(Phil Hogan)は、欧州司法裁判所がゲノム編集技術などを応用した植物新育種技術に対してGMOと同じ規制を求めた判決に「驚いた」と述べた。さらに、判決の決定を回避する措置を検討していることを示唆した。〔EURACTIV.com 2019/1/25〕

●仏のグリホサート禁止後退か

 仏マクロン大統領は、フランス南東部で開かれた討論会で、グリホサート禁止に後向きの見解を示した。農民のグリホサートに代わる手段がないという訴えに対して、当初約束した2022年までの禁止は難しいと答えた。〔RFI 2019/1/25〕