■2019年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●米国連邦裁判所もグリホサートの発癌性を認定


 昨年8月のサンフランシスコ地裁の判決に続き、カリフォルニア連邦裁判所陪審は3月18日、癌を引き起こした原因物質は除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートであると全員一致で認定した。被害者はカリフォルニア州サンタローザの56ヘクタールに30年間にわたりラウンドアップを散布して非ホジキンリンパ腫に罹患した。裁判は2段階に分かれており、第1段階の今回はラウンドアップと癌との関係について判断した。第2段階ではモンサント社への賠償額が提示される。〔Sustainable Pulse 2019/3/19〕


癌以外にもグリホサートによる健康への影響が確認された。イタリア・ボローニャにあるラマツィーニ研究所等の研究チームによるラットを用いた実験で、米国で安全だとしているレベル、1日あたり体重1kgあたり1.75mgのグリホサートを投与したところ、雌雄両方に生殖や発生への影響がみられた。肛門と性器間の距離(AGD)に統計的な有意差が出たという。AGDは化学物質による生殖器への影響を見る上での重要な「内分泌かく乱マーカー」である。また、発情の遅れもみられたという。研究者は、これはテストステロン(男性ホルモン)の増加を含む、アンドロゲン効果を示していると述べている。〔Ramazzini Institute 2019/3/11〕


他の病気との関連も示された。パーキンソン病による早期死亡への関連である。ワシントン州立大学医学部のオファー・アムラム(Ofer Amram)らの研究チームは、同州でパーキンソン病に罹った4600人以上を調査した。他の農薬との関連も調査したが、グリホサートがパーキンソン病の原因である可能性が高い、と結論づけた。〔OPB 2019/3/12〕


新たに食品汚染も確認された。公益団体US PIRGの調査で、ビールからグリホサートが検出された。検出されたビールの種類は多く、日本でもおなじみのハイネケン、バドワイザー、ギネスなどが含まれている。ワインからも多数検出された。PIRGのカラ・クック・シュルツは、ビールやワインを飲むと農薬を摂取することになる、と指摘している。最も高い数値だったのは、香港ビール「青島」の49.7ppbだった。〔Metro 2019/2/26〕


次々とグリホサートの有害性を示すデータが示されたためか、モンサント社はグリホサートに発癌性があるかどうかの動物実験を始めた。敗訴判決以後の訴訟拡大に対する対抗措置であろう。〔Deutsche Welle 2019/2/25〕
欧州でもグリホサートに関する判決が出された。欧州司法裁判所は3月7日、欧州議会議員と市民団体がグリホサートの毒性試験結果の公開を求め提訴した裁判で、欧州食品安全庁(EFSA)に公開を命じた。この毒性試験結果は、EUがグリホサートの再延長を決定する鍵となった研究結果である。〔GM Watch 2019/3/7〕