■2003年8月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●省庁動向
日本政府、今年秋にカルタヘナ議定書批准

 6月30日、遺伝子組換え生物管理小委員会(経産相諮問機関、産業構造審議会)が開かれ、カルタヘナ議定書関係の今後のスケジュールが明らかにされた。カルタヘナ議定書は、すでに6月14日に締約国が50カ国に達し、9月11日に国際的に発効する。日本政府は、国内法の具体的な手続きや技術的基準を定める省令などを公布後、今秋を目途に批准する予定。批准から90日後に議定書は施行される。現在、関係省で省令などを検討中だ。

農水省、イネゲノム解析に5年計画で450億円

 2003年度からスタートした産官学のビッグプロジェクトには、文科省の再生医療や30万人遺伝子バンク計画とともに農水省の「イネゲノム機能解析研究」がある。独立行政法人の農業生物資源研究所と農業技術研究機構が中心となり、参加する研究機関は、名古屋大学、明治大学、理化学研究所、国立遺伝学研究所など。産業界からは、三菱化学、日立製作所、日本電気、JTなどが参加を予定している。プロジェクトリーダーは農業生物資源研究所理事・中島皐介が務め、予算は5年計画で計450億円にのぼる(2003年度概算要求額は103億円)。
 2002年12月、イネゲノムの重要部分(PHASE2)の解読が終了した。日本は約6割の塩基配列を読みとり、国際コンソーシアムのなかでトップだった。現在、イネゲノムに関する日本の特許出願は50件で、うち36件が遺伝子機能特許である。イネゲノム機能解析研究では、2004年度末までに100件、2008年度末までに200件の遺伝子機能特許の取得が目標として掲げられている。また農水省の試算によれば、この研究の成果が生み出す市場規模は、高機能性品種が4000億円、特定疾患対応品種が2000億円、健康食品素材が1000億円に達するという。


●海外動向
ブラジルでGM表示規制強化

 ブラジルでは、隣国アルゼンチンから流入するモンサント社の遺伝子組み換え種子によってGM大豆の栽培が拡大しており(前号参照)、同社による市場開放の圧力が強まっている。それに対してブラジル政府は、4月下旬、GM表示規制を強化した法律を施行した。それによると、4%まで認められていた混入率を1%まで引き下げる(日本は5%)ことになった。従来は、包装製品だけが表示の対象だったが、バラ積みや未加工の製品にも義務づけられた。さらには組み換え遺伝子が何に由来した遺伝子かという表示も義務づけられた。
〔農水省HP海外農業情報〕

日本向けスイートコーンにGM汚染

 ニュージーランド・ギズボーンにあるサンライズ・コースト・ニュージーランド社の農場で収穫されたトウモロコシに、GM汚染が発覚した。種子はシンジェンタ社(スイス)のものである。日本のピザ加工メーカーが輸出業者「キウイ」に汚染を通知し、明るみに出た。同社は、このトウモロコシは日本市場向けのものであり、ニュージーランド国内市場には出回らないと発表した。
〔News headline 2003/7/4〕

米国農家制限規則守らず

 米国ワシントン州の消費者グループ・公益科学センターが、政府記録(2002年)を調査したところ、恒常的なGMトウモロコシの作付け制限規則違反が明らかになった。アイオワ州とミネソタ州では18%以上の農家が、ネブラスカ州では22.5%の農家が、殺虫性作物を対象にした規則(耐性を持った害虫の拡大を防ぐために、GM作物を80%以上作付けしてはならない)を守っていなかった。
〔News headline 2003/6/20〕


●農薬汚染
除草剤で永久歯が生えない子ども急増


 岐阜大学医学部非常勤講師の中里博泰は、6月21日から長野県松本市で開かれていた日本薬品情報学会で、永久歯が足りない子どもが急増しており、その原因が除草剤ラウンドアップなどに使われるグリホサートが有力だという報告を発表した。同医師の医院では、年間約1200人の子どもを受診しているが、3年ほど前から永久歯が1〜2本足りない子どもが増えて年間85人(7%)に達し、従来の先天性形状異変(0.1%)を大きく上回った。後天的な要因が影響しているものとされ、主な原因がグリホサートだと推測した。GM作物の増加とともに農薬グリホサートの残留基準が世界的に緩和され、人間の摂取量が急増している。 〔産経新聞 2003/6/11〕


●ゲノムプロジェクト
30万人遺伝子バンク計画に燃える徳州会


 文科省が200億円の予算をつぎ込む国家プロジェクト「30万人遺伝子バンク計画」に参加する医療機関は、新たに岩手医科大学が加わり全部で8機関となった。実際にはそれらの関連病院37施設が30万人分の血液を集めるが、計画に対する意気込みは、8機関の間でかなりの温度差がある。医局ごとに分かれている大学医学部では意思の疎通が難しく、全体で積極的に取り組むとまではいかないのが現状のようだ。そのなかで突出しているのが、グループ全体の従業員数が1万6000人を超える巨大医療法人の徳州会である。血液サンプルの収集に参加する37施設のうち21施設を徳州会グループが占め、さらに5年後には35施設まで増やす予定だという。         
〔日経バイオテク 2003/6/9〕


●遺伝子組み換え食品
元北大教授がGM納豆発売


 元北海道大学教授冨田房男らが設立したベンチャー企業A-HITバイオが、モンサント社のラウンドアップレディ大豆(除草剤耐性大豆)を原料にした納豆の通信販売を7月から行う。「納豆のススメ」という商標で95%以上のGM大豆を用いている旨を表示する。
〔日経バイオテク 2003/6/23〕


ことば
*ラウンドアップ
 モンサント社の開発した農薬(除草剤)。主成分はグリホサート。日本国内、世界でトップシェアをもつ。さらにモンサント社はラウンドアップ耐性遺伝子組み換え作物を開発し、種子とラウンドアップのセット販売に力を入れている。