■2022年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●省庁動向
●まもなくGMカラシナが日本で流通可能に
 12月15日消費者庁は、GMカラシナの流通を可能にするための食品表示法改正を消費者委員会に諮問した。BASF社が日本での栽培・流通を求め、除草剤グルホシネート耐性及び稔性回復カラシナを承認申請し、すでに環境・厚労省が環境への影響や食の安全に問題はないと評価している。消費者庁が新たにGM食品表示制度にカラシナを加えれば、日本での流通が可能になる。

●高オレイン酸大豆も通常のGM作物表示と同様に変更
 消費者庁はこれまで高オレイン酸大豆について実質的同等とみなさず、食用油などに表示を求めていたが、12月15日、それを変更した。理由は「従来育種でも高オレイン酸大豆の生産が可能になった」からとしている。実質的に表示基準が緩和され、食用油への表示も不要となる。

●わかりにくいGM食品表示に消費者庁が検討を約束
 2023年4月より遺伝子組み換え食品の表示制度が変更になるのを前に、消費者団体が調査したところ、「遺伝子組み換えでない」表示が少なくなり、「分別生産流通管理済み」表示が増えていることが判明した。「遺伝子組み換え」の文字が使われていないこの表示では、何を分別しているかが不明である。調査を行なった遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは、12月21日に消費者庁と交渉し、改善を求めた。消費者庁は、何らかの改善を行うことを約束した。

●ゲノム編集
●ゲノム編集家畜作製にあたってはアニマルウェルフェアを考慮すべき
 英国の評価機関のナフィールド生命倫理評議会は、ゲノム編集家畜を作製する際には、アニマルウェルフェアを第一義に考慮すべきだとする提言をまとめた。家畜の苦痛が増す可能性が強いことを理由に挙げている。現在、英国政府は、ゲノム編集家畜を商業ベースで開発できる提案をしており、この提言はその見直しを求めたもの。〔BBC 2021/12/1〕

●宮津市がゲノム編集フグをふるさと納税の返礼品に
 12月6日、リージョナルフィッシュ社がゲノム編集マダイとトラフグのネットでの販売を開始した。一方、これらの魚の養殖場がある京都府宮津市が、ふるさと納税の返礼品にゲノム編集フグを扱うことを決めた。安全が確認されていない魚の採用に、消費者団体などから批判の声が起き、宮津市に対する抗議活動が広がっている。

●ゲノム編集トマト苗を小学校や高齢者施設などに配布
 ゲノム編集トマトの普及を目的に、サナテックシード社は小学校や高齢者などの介護福祉施設に苗を無償で配布すると発表した。2022年から介護福祉施設に配布し、栽培とともに実食による影響を見る。2023年からは小学校に配布して栽培を推進していく予定。これに反対する署名運動が広がり、自治体に扱わないよう求める動きも広がっている。北海道の市民団体は、道内すべての自治体に対して、取り扱わないように要請文を送付した。

●スシローがゲノム編集魚の共同開発へ
 すしのチェーン店のスシローや京樽、海鮮三崎港などを傘下に持つFOOD&LIFE COMPANIESは、ゲノム編集魚を開発するリージョナルフィッシュ社、ゲノム編集技術の拠点研究所プラチナバイオ社と共同で、ゲノム編集魚の共同開発に乗りだすと発表した。プラチナバイオ社は、広島大学ゲノム編集イノベーションセンターの山本卓教授が中心になって作ったベンチャー企業である。

●遺伝子組み換え
●遺伝子組み換え稲の栽培試験東北で始まる
 環境省・農水省は12月9日、東北大学が申請していた「ルビスコ増強大粒稲」の野外栽培試験の承認を前に、一般からの意見募集を開始した。東北大学はこれまでも宮城県鳴子温泉にある大学の圃場で、鉄欠乏耐性稲、紫外線感受性稲、ルビスコ過剰生産稲、ルビスコ生産抑制稲などの栽培試験を行なってきた。ルビスコは、植物の光合成にかかわり炭素固定をもたらす酵素である。すでに2016〜18年の3年間、ルビスコ過剰生産と生産抑制稲の違いを見てきた。今回は、ルビスコを増加させたGM稲の実用化を目指した栽培試験と思われる。

●企業動向
●バイエル社がハワイで協定違反の農薬を使用し罰金を支払う
 バイエル社は12月5日、ハワイの旧モンサント社の試験圃場で行なっていた農薬散布実験で禁止農薬を使用していたことを認めた。2019年に成立した協定の違反により罰金が科せられた。協定で禁止されたグリホサート系除草剤と併用して用いるメチルパラチオンなどの殺虫剤を使用していた。〔U.S.Attorney’s Office 2021/12/15〕