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今月の潮流●遺伝子組み換え稲をめぐる新たな動き
香川県善通寺の独立法人・近畿中国四国農業研究センター四国研究センターで、耐病性の稲(キヌヒカリ)が3年前から栽培されている(担当研究者・石川浩一)ことがこのほど明らかになった。
これは縞葉枯病を引き起こすウイルスのコート(外被)タンパク質遺伝子を導入して、ワクチン効果を狙ったものである。人間の免疫反応に相当する植物の干渉作用を利用している。この稲は、90年代前半に農水省の研究機関と三菱化学によって開発が進められ、当時は「日本晴」と「キヌヒカリ」の2品種を対象にしていた。
当時の担当者は、多数の特許が関係するため商品化は難しく、また、一つの病気に強いだけでは農家へのメリットは乏しいと述べた。このような研究がその後も継続されていたとは驚きである。
稲をめぐってはほかに次のような動きがある。
厚生労働省は、アレルゲンタンパク質が食品中にできるため、「減感作療法」食品である花粉症治療用稲に対して、認可しない見解を示した。
米国では、バイエル・クロップサイエンス社の除草剤耐性の「LLライス」が、来年から商業栽培に踏みきる可能性が出てきた。主な用途は、加工食品や飼料である。 |
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