■2023年6月号

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バイオジャーナル

ニュース


●ゲノム編集
●米国でゲノム編集豚を承認

 米国のワシントン州立大学が開発したゲノム編集豚が、食品医薬品局(FDA)の承認を受け、食品としての流通が可能になった。開発したのは同大学獣医学部分子生物学科教授のジョン・オートリーらの研究チーム。この豚は、馬で言う「代理種牡馬」という方法を用いている。「望ましい精子」を作り出すために、ゲノム編集により雄の豚の生殖能力にかかわる遺伝子を破壊して不妊にし、その豚に別の雄の生殖にかかわる幹細胞を移植した。移植した雄の豚の精子で子豚を誕生させ、食品として流通させるというもの。この精子をつくる能力は、次世代へと受け継がれていく。〔WSU News&Media Relations 2023/5/1〕

●米国でゲノム編集サラダ用カラシナを開発

 米国のペアワイズ(Pairwise)社はゲノム編集技術を用いて、辛味と香りを弱めたサラダ用カラシナを開発した。レタスやキャベツに代わる新たなサラダ用野菜として市場化を図ろうと、まもなくミネソタ州やマサチューセッツ州のレストランや店舗での取り扱いが始まる。今夏には太平洋岸でも販売を始めたいとしている。〔WIRED 2023/5/22〕

●筑波大学がゲノム編集メロンを開発

 筑波大学教授の江面浩は、同教授が立ち上げたサナテックシード社、農研機構と共同でゲノム編集の日持ちメロンを開発した。果実を熟させるエチレンを収穫後に発生させず、追熟を防いだメロンである。開発には、iPB法というCRISPR-Cas9を直接植物の生長点に入れる方法を用いている。もともと江面教授は、遺伝子組み換えのアンチセンス法でエチレン合成遺伝子の発現を抑え、日持ちを良くする実験を行ってきており、規制のある遺伝子組み換えから規制のないゲノム編集に変更したものと思われる。〔日本農業新聞 2023/5/4ほか〕

●コルテバ社のゲノム編集トウモロコシは現時点で商業栽培されず
3月に届け出が受理され日本での流通が可能になったゲノム編集トウモロコシについて、日本消費者連盟など消費者団体が提出した質問に対して、コルテバ・アグリサイエンス日本が4月28日付で回答した。その中で「研究及び商業化前試験のため米国で栽培されたことはありますが、現時点で商業的な流通・販売はされておりません」と述べ、現時点では商業栽培に至っていないことを明らかにした。