■2003年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●英国でGMO環境影響評価実験の報告発表


 10月16日、英国王立協会は、GM作物の環境影響評価実験の報告を発表した。680万ポンド(12億5000万円)を投じ、273カ所の一般農場で4年をかけ、4種類の作物に関してGM品種と通常の品種を比較した。作物は、テンサイ、トウモロコシ、春まきナタネ・冬まきナタネで、それぞれ66、68、67、72カ所で実験された。冬まきナタネは収穫期が異なるため、今回の報告には入っていない。

 実験は、GM品種の除草剤耐性テンサイ、トウモロコシ、ナタネと、同じ作物の非GM品種をそれぞれ実際に栽培する時と同様の条件で栽培し、比較した。除草剤は、GM品種のトウモロコシとナタネにはグリフォサート・アンモニウム、テンサイにはグリフォサートを用いた。非GM品種には、それぞれ、現在、実際の栽培で使用されているものを用いた。
 環境影響評価対象は、雑草と、昆虫・小鳥などの動物への影響である。農場内だけでなく、農場の周辺への影響も調査された。

 その結果、テンサイとナタネではGM品種の方が農場内・農場周辺ともに、雑草・動物ともにマイナスの影響が大きいことが分かった。逆にトウモロコシは、非GM品種の方がマイナスの影響が大きかった。
 この報告を受けて、テンサイとナタネでは生物の多様性に与える影響が大きいため、GM品種の規制が進む可能性が出てきた。また、トウモロコシに関しては、発癌性が強いためEUで禁止されている除草剤アトラジンが使われていたため、英国元環境大臣のマイケル・ミーチャーが実験をやり直すべきだと述べるなど、再実験の可能性も出ている。〔ガーディアン 2003/10/17ほか〕