■2004年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●BSE
英国で再びBSE拡大か?

 この間日本では、牛の肉骨粉を牛の飼料に用いることを禁止した後に誕生した若い牛から、相次いでBSEが発生した。とくに10月にBSEと確認された1歳11カ月の牛は、新型のBSEであるとして、注目が集まっている。
 英国でも、牛の肉骨粉を飼料に用いることを禁止した1996年10月以降に誕生した牛からBSEが発生し、拡大し始めている。11月20日までに確認された数は78頭(うち11頭が在北アイルランド)にのぼり、今後さらに増加するとみられる。
 かつて大発生した牛群からの発生は少なく、禁止後になんらかの形で残存した汚染飼料を用いたとも考えられず、感染源を特定する作業は壁にぶつかっている。環境中に広がった異常プリオンが、生態系を通して飼料に混入した可能性もある。BSE問題の根本的な解決は遠のいたといえる。 〔The Guardian Weekly 2003/11/27〕

●GMO汚染
英国でのGM作物環境実験に疑義

 10月16日、英国王立協会が発表した一般農場で行われた環境影響の評価実験(先月号参照)で、トウモロコシのみ非GM品種でマイナスの影響が大きかった点に関して、批判が強まっている。
 実験ではGM作物に除草剤リバティを使用したが、リバティは効果が弱いため、米国では通常アトラジンを併用して用いている。一方、非GM作物には、EUで使用禁止が決まっているこのアトラジンを用いた。これではとても正確な実験結果は得られない、としている。〔I-SIS 2003/11/12〕


●省庁動向
食品安全委GM専門調査会が基準を提示


 遺伝子組み換え食品の安全審査を厚生労働省に代わり行うことになった、食品安全委員会の遺伝子組換え食品専門調査会では、新たな「安全性評価基準案」を作成した。
 11月19日に開かれた第2回専門調査会では、セルフ・クローニングとナチュラル・オカレンスを用いて改造した食品もまた、審査の対象に加えることで合意した。
 セルフ・クローニングとは、遺伝子組み換えに用いる宿主、ベクター、DNA供与体という基本的素材がすべて同じ種に属する場合のことをいい、ナチュラル・オカレンスとは、遺伝子組み換えでできた生物と同等の遺伝子構成をもつ生物が自然界に存在する場合のことをいう。これらはこれまで審査の対象から外れていた。
 12月1日に開かれた第3回専門調査会では、早くも新たな「安全性評価基準案」が提示された。内容は、昨年3月にコーデックス委員会バイテク特別部会がまとめた国際基準に基づいている。細かい修正が行われた後に成立し、それ以降、すべての新たなGM食品はこの評価基準に基づいて審査されることになる。


厚労省、遺伝子治療の環境影響評価委員会を設置

 厚労省に遺伝子治療用のベクターの環境影響を評価する「遺伝子治療臨床研究に係る遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する検討委員会」(厚相諮問機関、厚生科学審議会)が発足し、11月25に第1回会合が開かれた。委員長には吉倉廣・国立感染症研究所長が就いた。検討会が設置された背景には、2004年2月19日の全面施行に向けて、カルタヘナ議定書に関する国内法の細則などの整備が進められていることがある。
 遺伝子治療に用いられる主なベクターは、ウイルスに遺伝子組み換え技術によって人の遺伝子を導入したものであり、当然、組み換え体として規制対象に含まれる。これまでに国内で行われた18件の遺伝子治療のうち、15件に組み換えウイルスが使われている。今後、検討委員会では環境影響を評価するために必要な情報を収集していくという。