■2001年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル





今月の潮流●人災としての生物災害の拡大



  炭疽菌を用いたバイオテロ、BSE(牛海綿状脳症)、スターリンクの花粉汚染が広がり、生物災害の怖さを見せつけている。かつてはペストやコレラが、少し前には抗生物質耐性菌や大腸菌O-157、エボラ出血熱などが人間社会を恐怖のどん底に陥れてきた。
 現代の生物災害は、いずれも人間がつくり出した汚染が原因である。生物を操作する機会が増えるにつれ、かつての感染症とは、汚染の質も広がりも変わってきた。動物性飼料を使いつづければ、プリオン病が他の動物に拡大することが懸念される。遺伝子組み換え作物が広がれば、花粉などによって、他の生物への影響が考えられる。
 遺伝子組み換え技術を用いた新しい生物兵器の開発も進められているはずである。HIV(エイズウイルス)が、羊のウイルスを用いた生物兵器開発の過程で誕生したという説もあるほどだ。生物兵器とともに懸念されるのが、遺伝子を改造した微生物や動植物による生物災害の拡大である。