■2004年7月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●増える栽培実験、中止も相次ぐ


 今年は昨年に比べ、多数の遺伝子組み換え作物の栽培実験が計画された。なぜなら、今年2 月から施行された「生物多様性条約カルタヘナ議定書国内法」によって、野生生物への影響評価が義務づけられたからである。同時に2月から農水省所轄の研究機関を対象にした「指針」の運用が開始されたため、各地で説明会が開かれるようになった。昨年まで説明会はほとんど行われていなかった。

 東大付属農場(西東京市)の説明会では、開発者の農業生物資源研究所が、実験に使用するGMジャガイモ内部の代謝などにどのような変化がおきているのかを把握していないなど、参加者の質問にほとんど答えられなかったため、責任者の大杉立農場長が実験の中止を決めた。

また、牛久市で開かれたシンジェンタ・シードとデュポンの説明会は、安直な説明と強引な運営が原因で紛糾し、再度の説明会実施で会場参加者と合意したが結局開かれることなく中止、平塚市の実験は、県からの要請もあり、圃場を温室に切り替えて実施するなど、現場の混乱が続いている。

表1 主な栽培実験
実験作物 実験場 開発者
中止された栽培実験
収量向上ジャガイモ 東大大学院圃場(西東京市) 農業生物資源研
殺虫性トウモロコシ 植物調整剤研究協会圃場(牛久市) シンジェンタ・シード
除草剤耐性・殺虫性トウモロコシ 植物調整剤研究協会圃場(牛久市) デュポン
圃場実験のみ中止
スギ花粉症稲 JA圃場(平塚市) 農業生物資源研
実施予定の栽培実験
直立葉半矮性稲 農環研圃場(つくば市) 農業生物資源研
半矮性稲 農環研圃場(つくば市) 農業生物資源研
除草剤耐性・殺虫性トウモロコシ 農環研圃場(つくば市) ダウ・ケミカル
収量向上ジャガイモ 農環研圃場(つくば市) 農業生物資源研
除草剤耐性大豆*1 農環研圃場(つくば市) モンサント
トリプトファン高蓄積稲 中央農業総合研究センター(つくば市) 作物研究所
除草剤耐性綿 モンサント社圃場(茨城県河内町) モンサント
除草剤耐性大豆*1、*2 モンサント社圃場(茨城県河内町) モンサント
除草剤耐性トウモロコシ 畜産草地研圃場(西那須野町) モンサント
除草剤耐性トウモロコシ 畜産草地研圃場(西那須野町) バイエル・クロップサイエンス
除草剤耐性大豆*1 畜産草地研圃場(西那須野町) モンサント

*1 承認済みのもの、*2 2頁記事参照