■2004年7月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
豪州でのGMナタネ栽培が中止に

 モンサント社は、北米でのGM小麦開発を中止すると発表した(前号)2日後の5月12日、今度はオーストラリアでのGMナタネの栽培を断念した。州政府が相次いでGMナタネの栽培規制に動いていたことと、同社の経営悪化に伴う路線見直しが原因と思われる。また、バイエル・クロップサイエンス社も6月3日にGMナタネの撤退を表明し、これによってオーストラリアでのGMナタネ栽培は事実上、中止されたことになる。
〔シドニー・モーニング・ヘラルド 2004/5/13、ABC 2004/6/3〕

バイオ作物懇話会、今年も栽培か?

 GM大豆の国内商業栽培を進めるバイオ作物懇話会(長友勝利代表)が、今年も栽培を行うことを明らかにした。しかし、昨年のように周辺農家とのトラブルが発生したり、自治体からの刈り取り要請が起きることが予想されるため、今年は、茨城県河内町にあるモンサント社の実験圃場内で行うことを明らかにした(表1参照)。
 栽培計画を見ると、栽培の主体はあくまでもモンサント社であり、バイオ作物懇話会の名前はどこにもない。同社によると、収穫後データをバイオ作物懇話会に渡すだけ、という。

欧州委員会がGMトウモロコシ承認

 欧州委員会は5月19日、スイス・シンジェンタ社が申請していた殺虫性トウモロコシ(Bt−11)をモラトリアム解除後はじめて承認した。このトウモロコシはスウィートコーンで、生食用としての承認である。前号でお伝えしたように、このBt−11 は欧州農相理事会で承認を得られず、欧州委員会に差し戻されていた。

 EUでは、4月18日に遺伝子組み換え食品・飼料の新しい表示規則がスタートした。トレーサビリティも義務づけられたことから、流通は事実上不可能であり、今回の承認も輸入作物の中に混入した際に「安全性は確認したものだ」とする態勢を整えるのが目的のようである。しかしながら、これから続々と申請される新品種承認のきっかけになる可能性はある。 〔ガーディアン 2004/5/20〕

シンジェンタ社がモンサント社の独占を阻止?

 スイス・シンジェンタ社が、GM作物市場に参入してきた。これまでGM作物の種子は米モンサント社の独占状況にあり、それを追うのが独バイエル・クロップサイエンス社だった。そこにシンジェンタ社が割り込もうとしている。
 同社は、5月21日にバイエル・クロップサイエンス社から除草剤(グリホサート)耐性技術「GA21」を得たことを発表した。グリホサートは除草剤「ラウンドアップ」の主成分である。さらに、北米に大きな市場をもつ巨大種子企業アドバンタ社(英アストラゼネカ社とオランダ・コスン社の合弁企業)を買収したことも明らかにした。これによってシンジェンタ社は、GM大豆、トウモロコシをはじめとする北米での種子販売で、大きなシェアを握ることが可能になった。
 同社は、GM小麦開発では市場化可能な耐病性品種を開発しており、稲も日本たばこ産業と共同開発するなど、技術開発力ではすでにモンサント社と並んでおり、モンサント社の独占を崩す一番手に躍り出た。

除草剤耐性芝が試験栽培

 ゴルフ場などで用いる芝生にGM品種を用いる実験が、米国オレゴン州で進められている。開発したのはスコッツ社で、薄い葉が均一に生え除草剤ラウンドアップにも抵抗力をもたせた芝である。現在農務省の審査中であるが、環境保護団体以外にも、米国土地管理局、農務省林野部などが周辺の環境への影響を懸念している。 〔AP 2004/4/10〕

除草剤耐性アルファルファが日本の飼料にも?

 米カリフォルニア州で、モンサント社が開発した除草剤耐性アルファルファの試験栽培が行われており、早ければ来年にも市場に出回る可能性がある。このアルファルファは、干し草として酪農家などに販売されるため、承認され栽培されれば、カリフォルニアから輸入している日本向けの干し草への混入は避けられないと見られる。 〔Record Searchlight 2004/4/18〕