■2004年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●GM対応除草剤が及ぼす子どもの脳への影響


 除草剤耐性遺伝子組み換え作物に用いられる除草剤が子どもの脳に影響することが指摘された。
 東京都神経科学総合研究所の黒田洋一郎は最近の子どもによる殺人事件に触れて、化学物質が子どもの脳に及ぼす影響について論述(『科学』2004年8月号)した。その中で、帝京大学の藤井儔子が10年前に行った動物実験を紹介している。

 それによると、GM作物に対応する除草剤の主成分「グルホシネート」を投与されたラットが、噛みつくなど攻撃性を持つことが示された。また投与した母親から生まれた仔ラットも、尾を傷つけるなど異常な行動を示した。高用量を投与した親から生まれた、通常は噛みつくことのない雌の仔ラットも凶暴になり、ラット同士で噛みつきあい、ついには片方が殺されるものまで出た。

 グルホシネートは除草剤「バスタ」の主成分だが、除草剤「ラウンドアップ」の主成分「グリホサート」も類似の構造をしていると黒田は指摘し、GM作物が登場して以降、これらの除草剤が残留する作物が広範に流通しており、「子どもの健康を考える人にとって、これらの除草剤は要注意である」と締めくくっている。