■2004年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物

 農水省、第一種使用規定GM作物7品目承認

 7月30日、生物多様性影響評価検討会総合検討会が開催され、サントリーフラワーズ申請の青紫色カーネーション4品目、日本モンサント申請のトウモロコシなど3品目をそれぞれ第一種使用規定として承認した。第1種使用とは、野生生物への影響なしという評価で、すなわち野外での栽培を認可したものである。
 また、会合の最後に「遺伝子組み換え作物いらない、茨城ネットワーク」から出ていた、鹿島港組み換えナタネこぼれ落ち種子に関する質問書が取り上げられたが、原田座長は「この検討会の運営要領には第一種使用規定の申請の審査を行うことと定められているので、(質問書については)特別な検討は行わない」との見解を示した。この件に関して環境省の安田野生生物課長補佐は、「こぼれ落ちはある程度想定しており、港の近くにあるうちは生物多様性には影響ない。2年から3年のうちには全国の輸入港をモニタリングし、環境中にどれだけ組み換え体があるかを調べる予定」と発言した。

米アリゾナ州立大が医薬品製造用トマトを開発

 米国アリゾナ州立大教授チャールズ・J・アルンツェンは、7月24日American Society of Plant Biologistで、胃腸炎などを引き起こすノーウォークウイルス、B型肝炎ウイルスなどの遺伝子を導入したトマトの開発に成功したと発表した。このような植物を「医薬品製造用植物」と呼び、今回のトマトのようなワクチン効果の期待できる植物は「食べるワクチン」と言う。トマトを食べるだけで病気を防げるとしているが、今後、通常の作物との交雑を防ぐ問題など、課題も山積している。〔日経バイオテク 2004/08/02〕

全農がGM開発から撤退を明言

 7月21日、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンとJA全農(全農)との交渉で、高田営農総合対策部長は、平塚市にある全農の営農・技術センター圃場におけるGMスギ花粉症稲の温室実験は、「18年度まで研究開発は継続するが、それ以降は行わない。その間、温室での実験は行うものの野外の圃場では行わない。全農でのGM作物の開発は、ヒトラクトフェリン稲とスギ花粉症稲だけに留め、他は行わない。このうちヒトラクトフェリン稲はすでに開発を中止しており、スギ花粉症稲の研究開発が終了する18年度ですべてのGM作物から撤退する。スギ花粉症稲に関して18年度まで研究開発を継続す
るのは、種子の権利を保持するのが目的である」と述べた。


●アフリカ事情
南アフリカで大規模なGMポテト試験

 南アフリカ共和国の6カ所で、遺伝子組み換えジャガイモの試験栽培がまもなく行われる。試験場所を明らかにすると荒らされる恐れがあるため、公表されていない。このGMジャガイモは、モンサント社の「ニューリーフ・シリーズ」と思われる。消費者の抵抗が大きく、米国で栽培中止になった品種だ。南ア政府は、2007年には商業栽培を開始したい意向である。市民団体「バイオウォッチ南アフリカ」のエルフリーダ・スコーン・シュトラウスは、「米国の消費者が拒否したものを南アフリカの消費者が望むはずがない」と批判している。〔The Cape News 2004/7/28〕


●欧州事情
フランス版「怒りのブドウ」

 7月8日、フランスの大半のワイン生産者・取引業者が加盟する、欧州や米国のワイン生産者・取引業者の団体「世界の大地とワイン」が、遺伝子組み換えブドウに反対する声明を発表した。フランスの国立農業研究所がアルザス・コルマールでGMブドウの試験栽培を計画しており、来年にも実施される可能性が強まったためである。ワインの命ともいえる多様性を奪い、近隣のブドウを汚染する可能性があるなどが、おもな反対の理由だ。フランスでは、1996年に国立農業研究所とシャンパン・メーカーが共同でGMブドウの試験栽培をしたが、消費者の強い反対で、1999年に自主的に廃棄処分した。〔Associated Press 2004/7/9〕

オランダでGMジャガイモ畑潰される

 7月20日、オランダのフローニンゲン近郊にあるAvebe LLC社圃場で、試験栽培中のGMジャガイモ畑が潰された。Future Worldと称するグループが実行声明を発表したが、それがいかなる団体かは特定されていない。このGMポテトは、生分解性プラスチックの原料として開発が進められてきたと思われる。 〔AP 2004/7/20〕

フランスでGMトウモロコシの引き抜き

 南西フランスで試験栽培中のGMトウモロコシ(パイオニア・ハイブレッド・インターナショナル社開発)が、警察官が監視するなか、ジョゼ・ボヴェら反グローバリゼーションの活動家ら数百人によって引き抜かれた。メンバーには、緑の党関係者やボルドー市長が含まれていた。フランスでは現在、15地域48カ所でGM作物の試験栽培が行われており、ジョゼ・ボヴェらは、さらに他の試験栽培中の作物を引き抜くと宣言している。
〔About News24 2004/7/25〕