■2004年11月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
GM種子流通をめぐり揺れ動く欧州

 欧州委員会は9月8日、モンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」を承認した。これによって、EU加盟国25か国で作付け可能になった。これまでスペインとフランスで認可されていたが、EU全体では認可されていなかった。
 この決定に対して、環境保護団体から一斉に避難の声が上がっている。英国の「GMOフリー・ウェールズ」のスポークスマンは、「EU域内の消費者の利益と希望に反するものであり、政治的な決定であって科学的決定ではない」と述べた。
 欧州委員会は同時に提出されていた、GM種子の非GM種子への混入を0.3%まで認めるという提案を見送った。混入率について、バイテク業界は0.5%を主張し、生産者や消費者団体は0.1%を主張してきた。決定が見送られたことで、各国の法律が優先されることになったが、ほとんどの国が混入率設定を0%としているため、GM種子が混入した汚染種子の販売は禁止状態が維持されることになる。 〔Independent news 2004/9/9ほか〕

GM圃場「人間の鎖」に仏警察が介入

 フランス中部Valdivienne村の郊外で進められているGM作物試験に対して、圃場を取り囲み人間の鎖をつくって抗議行動していた市民団体に、警察が催涙ガス弾を発射、少なくとも15人が負傷した。〔Science AFP 2004/9/25〕

スロバキアでスーパーにGM食品表示要求

 スロバキアのプラスティラバにある、大手スーパー・テスコに対して、市民団体が抗議行動を行った。英国やハンガリーなどにあるテスコでは正確なGM食品表示をしているのに、スロバキアでは行われていないというのが、抗議の理由である。 〔The Grocer 2004/8/28〕

ポルトガルで環境保護団体がGM禁止求める

 ポルトガルでは環境保護団体が政府に対してGM種子の販売禁止を求めた。隣接するスペインで栽培され、遺伝子汚染を引き起こしているGMトウモロコシの種子が、欧州委員会で承認されたことを受けての行動である。ポルトガルではこの8月に、最も南に位置する観光地・アルガルベ州がGMOフリーゾーンを宣言している。〔Science AFP 2004/9/16〕

●オセアニア事情
GM芝は広範囲に汚染をもたらす

 米国EPA(環境保護局)の研究者は、ゴルフ場でよく用いられる「ベントグラス」と呼ばれる芝生の花粉が、21q離れた畑の作物を汚染したことを確認した。研究内容は、全米科学アカデミー紀要に発表された。除草剤(ラウンドアップ)耐性GM芝を用いた実験で、芝生以外の植物との交雑も確認された。とくに2q以内では顕著な交雑が見られ、交雑の範囲は310.に達した。この報告に対して英国の元環境大臣マイケル・ミーチャは「GM作物を育てるには英国では狭すぎる」と述べたが、これは日本にも当てはまる言葉である。
〔Scotsman.com News 2004/9/23〕


●北米事情
米国で低リノレン酸大豆種子の販売始まる

 モンサント社は、食用油中の脂肪酸バランスがよく高血圧や心臓病対策になるなど、健康によいことを売り物に米国で低リノレン酸大豆の種子販売を始めた。従来の大豆がもつリノレン酸が8%前後であるのに比べて、3%未満と押さえられている。2005年にはアイオワ州の農家から出荷される予定。 〔US National AFP 04/9/1〕
 リノレン酸は、心筋梗塞や気管支喘息など、アレルギー性疾患を防ぐ効果があるため、少なくすると、アレルギー性疾患の拡大につながる可能性がある。

西ナイルウイルスは鳥に影響大

 日本への侵入が懸念されている西ナイルウイルスがもたらす影響は、人よりも鳥のほうに大きいことがわかった。カリフォルニア州の研究者によると、同州でこれまで430人の感染、11人の死亡が報告されたが、亡くなったのはいずれも体力の衰えた人たちだった。鳥の死亡はすでに5万羽を超すと推定されており、家禽類への影響や、生態系への影響が大きいと考えられる。 〔ロサンゼルス・タイムズ 2004/9/4〕

カリフォルニア州で住民投票

 11月2日の大統領選挙に合わせて、米国カリフォルニア州のフンボルト郡、ビュット郡、マリン郡、サン・ルイ・オビスポ郡で、GM作物栽培規制法案の可否を問う住民投票が行われる。とくにフンボルト郡の法案は、GM作物の栽培を禁止する強い姿勢を打ち出している点で注目される。
 今年3月2日に同州メンドシーノ郡の住民投票でGM栽培規制法が成立したことがきっかけとなった。GMパパイヤが問題になっているハワイ州や、GM小麦で反対運動が起きたバーモント州でも同様の動きが出始めている。 〔AP 04/10/1〕

●中米事情
メキシコへのトウモロコシ輸出規制

 今年4月に北米自由貿易協定(NAFTA)の北米環境協力協定にかかわる諮問委員会は、米国からメキシコへのトウモロコシの輸出を規制するよう、勧告した。委員会は報告書にまとめ、9月第4週に米国・カナダ・メキシコ政府へ提出した。これを受けて各国政府は、60日以内に報告書を公表するか否かを決定しなければならない。
 この問題は、米国からメキシコに輸出されたトウモロコシを農家が種子として用いたため、広範な地域で遺伝子汚染が起き、原生種をも危機にさらしたため対策が検討されてきた。報告書では、種子として利用できないように製粉して輸出するように求めている。
 大統領選挙を間近に控えたブッシュ政権は、米国産トウモロコシの価格に影響するなど、選挙に悪影響をもたらす可能性が強いため、報告書を握りつぶす可能性があると同紙は指摘している。 〔シカゴ・トリビューン 2004/9/29〕