■2005年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
韓国でGM食品検査システムを導入

 韓国では来年早々、食品に遺伝子組み換え作物が混入しているかどうかを判定する標準検査システムを導入することになった。韓国食品医薬品局(KFDA)が11月29 日に発表した。韓国では、GM食品表示制度が導入されているが、標準検査システムがないため、消費者の間で本当に表示どおりなのか懸念が強まっていた。このシステムが導入されると、表示を守らない業者に対して罰則を科す根拠ができることになる、とKFDAは述べている。 〔The Korea Times 2004/11/29〕

●モンサント
モンサント社が種子企業を設立

 モンサント社がまた、新たに種子企業を設立した。11 月16日、モンサント社は、傘下にクラウズ・ハイブリッド、ミッドウェスト・シード、ウィルソン・シードの3つの種子企業を保有しているチャンネル・バイオ社を1億2000万ドルで買収し、それを基にアメリカン・シード社を設立した。アメリカン・シード社は、地方の種子企業に対して、資本、遺伝子、技術投資などの支援をしていく予定。GM作物の種子の販路をさらに拡大していくのが目的と思われる。 〔GM Watch 2004/11/22〕

モンサント社、GM芝の試験栽培へ

 12月2日、米モンサント社は、茨城県河内町にある自社の試験圃場で、除草剤耐性芝の試験栽培を来年にも行うことを明らかにした。承認されれば初めての食品以外のGM作物となる。 〔日本農業新聞 2004/12/3〕


●クローン
体細胞クローン牛の解禁、当分見送りに


 農水省は12月2日、体細胞クローン牛を食品として認める方針を先送りした。クローン牛の精子を用いて誕生した牛に関する安全性のデータが不足しているというのが、その理由である。同省は今後2年間かけてデータを収集し、食品安全委員会に諮問する予定である。そのため解禁は遅くとも2007年以降ということになる。〔共同通信 2004/12/3〕
 それに先立って、11月18日、体細胞クローン牛のデータが発表されたが、相変わらず異常が多い。また、体細胞クローン豚がすでに81頭誕生しており、牛と並んで同時解禁も考えられる。

表1 家畜クローン研究の現状(2004年9月30日)
受精卵クローン牛 出生頭数 691
 研究機関で育成・試験中 55
 農家が飼育中 6
 死産 73
 生後直死 30
 病死等 98
 食肉となった頭数 286
 その他の死・不明など 143
受胎中 3
体細胞クローン牛 出生頭数 425
 研究機関で育成・試験中 112
 死産 65
 生後直死 66
 病死等 89
 その他の死・不明など 93
受胎中 34
体細胞クローン豚 出生頭数 81
受胎中 8
体細胞クローンヤギ 出生頭数 5
受胎中 1


●個人情報
個人遺伝情報保護の法制化に反対意見が続出


 11月25日、遺伝情報の取扱いに関する文科、厚労、経産の3省による合同委員会が開かれ、個人遺伝情報保護法の検討が行われた。ヒトゲノム倫理指針の見直しは12月中にも改訂版が告示される予定で、これからいよいよ法制化の議論が本格化すると思いきや、どうも雲行きが怪しくなってきた。事務局がまとめた論点整理メモは法制化に賛成と反対の両論が併記され、委員からは「法律は時期尚早」「指針で様子を見たほうがいい」「研究にブレーキをかける」などの反対意見が続出した。最終的な結論は2005年4月1日の個人情報保護法の全面施行までに出すことになっているが、指針の見直しだけでお茶を濁して幕引き、という可能性が強まった。


●遺伝子組み換え作物
農水省、GM作物新たに6品目承認


 12月10日、生物多様性影響評価検討会が開催され、東北大学申請の鉄欠乏耐性イネ6品目を承認し、モンサント社申請の除草剤耐性大豆を継続審議とした。GM大豆についての分科会からの報告では、最終的には生物多様性に影響なしと結論づけているが、ツルマメとの交雑の可能性を指摘し、環境モニタリングの必要があるとしている。