■2005年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●拡大続くGM作物栽培、統計に疑問符も


 1月12日、ISAAA(国際アグリバイオ技術事業団)が、2004年のGM作物の栽培面積を発表した。1996年にGM作物の本格的な栽培が始まって以来、面積は拡大しつづけ、昨2004年には、8100万haにまで広がった。これは前年比で20%増、日本の国土(3780万ha)の2.1倍に相当する(詳細はクローズアップ参照)。
 国別でみると、相変わらず米国が断トツ状態である。アルゼンチン、ブラジルに加えてパラグアイ、ウルグアイでGM大豆の栽培面積が広がる南米は、一大栽培地域を形成し始めた。アジアでは中国、アフリカでは南アフリカで栽培面積が拡大している。ヨーロッパでは唯一スペインでBtトウモロコシを栽培しているが、全体的には栽培そのものを拒否している。
 作物の種類をみると、トウモロコシ、大豆、ナタネ、綿の4作物で変わらず、性質も除草剤耐性と殺虫性の2種類で増えていない。また、モンサント社が90% を超えて種子を支配しており、その独占的な地位にも変化はない。世界的な市場規模は、440億ドル(4兆5000億円)に達し、巨大な市場に発展しつつある。
 一方、ISAAAのデータに対する疑問も出されている。GMウォッチの編集者クレア・ロビンソンは、この数字は粉飾されたものだと指摘。インドのフィナンシャル・エクスプレスは、インドの栽培面積は、実際はもっと小さなものだと述べている。英サセックス大学開発問題研究所のAaronde Grassiも南アフリカの数値に疑問を呈している。〔GM Watch 2005/1/12ほか〕


表1 作付け面積の推移
1996年  170万ha
1997年 1100万ha
1998年 2780万ha
1999年 3900万ha
2000年 4300万ha
2001年 5260万ha
2002年 5870万ha
2003年 6770万ha
2004年 8100万ha
(参考・日本の国土の広さは、3780万ha)


表2 国別作付け面(2004年)
米国 4760万ha (59%)
アルゼンチン  1620万ha (20%) 
カナダ 540万ha (7%)
ブラジル 500万ha (6%)
中国 370万ha (5%)
パラグアイ 120万ha (2%)
南アフリカ 50万ha
インド 50万ha
オーストラリア  20万ha
その他 70万ha
 計 8100万ha


表3 性質別・作物別作付け面積
除草剤耐性大豆 4840万ha
除草剤耐性トウモロコシ 430万ha
殺虫性トウモロコシ 1120万ha
殺虫性/除草剤耐性トウモロコシ 380万ha
殺虫性綿 450万ha
除草剤耐性綿 150万ha
殺虫性/除草剤耐性綿 300万ha
除草剤耐性ナタネ 430万ha
 計 8100万ha
(出典 ISAAAより)