■2005年3月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●各国事情
バングラデシュがGMイネ容認の意向

 バングラデシュ農業省がGMイネ導入に積極的な姿勢を示している。農業大臣はGMイネに反対しないと述べており、コメ研究所のマヒドゥ・ハク所長は、ビタミンA不足解消を目的としたゴールデンライスを同国産品種を用いて開発していることを明らかにした。人口増や栄養失調を解決するためだとしているが、環境保護グループや保健関係者からは強い警告が発せられている。〔BBC 2005/1/18〕

カナダでもGMOフリーゾーン自治体登場

 昨年末、パウエル・リバーのGMOフリーを宣言によって、カナダで最初のGMOフリー自治体が出現した。プリンス・エドワード・アイランド州でもまもなく公聴会が持たれ、GMOフリー宣言へ向かい一歩前進する。同国で初めて州レベルでのGMOフリーゾーンの出現となる。 〔CNW Telbec 2005/1/19〕

アンゴラがGM種子・作物の輸入を禁止

 アンゴラ政府は、飢餓のために用いられる食糧援助以外、すべてのGM作物・種子の輸入の禁止を閣議決定した。アンゴラは2002年4月に、27年間つづいた内戦が終了して以来、数百万の人々が国連からの援助に依存している。国連が、自給自足を促すプログラムを開始したところである。 〔Independent Online 2005/1/24〕

イタリアで共存法が下院を通過

 ドイツにつづき、イタリア下院はGM作物栽培を厳しく規制するよう修正した上で、共存(有機・慣行・GMの3つの農業の共存)法を可決した。当初、政府が提案した内容がGM作物容認に近いものだったことから、地方政府などの間で批判が強まっていた。この修正成立について、有機農業者や農民組合、環境保護団体などは高く評価し、GM産業界は強く批判している。〔Checkbiotech 2005/1/21〕

GM動物に生産させる医薬品実用化へ

 英国GTC Biotherapeutics社が開発した、GM山羊のミルクに生産させた、血液凝固阻止物質ヒトアンチトロンビンが今年中にも発売される見通しとなった。「動物工場」による最初の製品となる。〔日経バイオテク 2005/1/17〕

●ヒト幹細胞
死亡胎児の細胞利用先送り濃厚

 2月3日、ヒト幹細胞を用いた臨床研究の指針作りを進めている厚労省のヒト幹細胞専門委員会が開かれ、中絶胎児の幹細胞についてはさらなる議論が必要との合意を得た。同委員会では、死亡胎児の細胞利用を認める方針を打ち出し、これまで集中審議を続けてきた。しかし、横浜の産婦人科クリニックが中絶胎児を一般ゴミとして捨てていた問題や、ハンセン病療養所などが中絶胎児や新生児の遺体を標本化していたことが発覚し、厚労省としてもこうした状況を無視できなくなったものと思われる。今後、死亡胎児の細胞利用について、基礎研究も含めて包括的に議論することになりそうだ。


●遺伝子組み換え作物
農水省、GM作物を新たに13品目承認


 2月3日、生物多様性影響評価検討会が開催され、モンサント社申請の除草剤耐性大豆や農業生物資源研究所申請のスギ花粉症対策稲など5品種13品目を第一種使用として承認された。第一種使用とは、野生生物への影響なしという評価で、野外栽培を許可したものである。前回から継続審議となっていたモンサント社のGM大豆は、栽培地周辺のつる豆との交雑を調査するという条件付きでの承認となった。


●ES細胞
文科省、ヒトES細胞利用を新たに5 件承認


 1月31日、特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会が開かれ、東大医科学研究所申請の造血幹細胞への分化誘導や、バイオベンチャーのステムセルサイエンス社と理化学研究所の共同研究などの使用計画5件が承認された。使用計画とは、すでに作られたヒトES細胞を用いて研究を行うこと。今回用いられるヒトES細胞はすべて京大再生医科学研究所から提供されたものである。