■2005年4月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM作物
米国でスーパー雑草拡大

 米国では除草剤(ラウンドアップ)耐性作物の栽培拡大にともない、除草剤ラウンドアップに抵抗性を持つ雑草(スーパー雑草)が増え、その結果ラウンドアップの使用量や散布回数が増えつづけている。開発当初、GM作物は農薬散布量、散布回数の減少による経済性をメリットとして売り出された。ノースカロライナ大学の植物学者ジョン・ウィルコットは、経済性に疑問が生じ始めたと警告している。 〔Delta Farm Press 2005/2/16〕

B型肝炎ワクチン・ジャガイモ臨床試験

 米国アリゾナ大学の研究チームは、B型肝炎ウイルスの遺伝子を導入したジャガイモを用いた臨床試験で、ウイルスへの抵抗性が確認された、と発表した。この試験は、以前にワクチンの接種を受けた人を対象に、GMジャガイモを食べることでその免疫力が維持できるかどうかを試したもの。そのため、GMジャガイモが通常のワクチンに取って代わることができるか否かについては、確認されていない。 〔New Scientist 2005/2/14〕

グアテマラ向け援助物資にスターリンク混入

 WFP(世界食糧計画)によるグアテマラへの食糧援助穀物の中に、有害性が指摘され、2001年以降栽培されていないGMトウモロコシ「スターリンク」の混入が環境保護団体の調査で確認された。2002年にもボリビアで検出されたことがある。なお、中米諸国に送られたトウモロコシ50検体を検査した結果、80%がGM作物だった。 〔Associated Press 2005/2/17〕

国立環境研究所がGMナタネ自生調査結果発表

 環境省は2月17日、国立環境研究所が平成16年度環境省請負業務として行った「遺伝子組換え生物 (ナタネ)による影響監視調査」報告書を発表した。調査はナタネ輸入主要港周辺と河川敷等で行われ、港湾地域の西洋ナタネにGMナタネが検出され(27検体中11検体)た。港湾地域の在来ナタネ(2検体)、港湾地域のカラシナ(15検体)、河川敷等の西洋ナタネ(20検体)、河川敷等のカラシナ(22検体)からは検出されなかった。


●コーデックス
コーデックス委員会特別部会が9月に再開

 GM食品の安全審査に関する国際基準を決める「コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会」が、今年9月下旬に再開される。前回(2000年〜2003年) 同様日本で4年間開催される。
 テーマは次の4つである。@GM動物(魚を含む)、クローン動物、A特定の生理活性物質や栄養分を増やした植物、多量の遺伝子を導入した植物、医薬品として用いる植物、特定の医薬品や非食品成分を生産する植物、B承認作物への未承認作物が混入した際の許容の割合、C比較食品組成分析、が議論される。


●省庁動向
厚労省見解、スギ花粉症予防イネは医薬品

 厚労省は2月14日、GMスギ花粉症予防イネは医薬品であり、「食品としては認めない」とする考えを農水省に伝えた。翌15日に開かれた省庁横断組織の花粉症対策研究検討会でも、同様の考えを述べた。これに対して農水省は、あくまでも「食品である」と主張している。食品の場合、簡単な安全審査を通過すれば商品化が可能であるが、医薬品となると3段階の動物実験・臨床試験が義務づけられ、実用化はかなり先になる。