■2005年6月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
中国バイオセーフティ委がGMイネを承認

 中国のバイオセーフティ委員会は、胴枯れ病など細菌性の病気に抵抗性を持たせたGMイネ「Xa21」の栽培・流通を承認した。中国科学農業センター長・黄季焜が開発し、安徽省での栽培が予定されている。最終的には、政府の農業部農業遺伝子組み換え生物安全管理弁公室の認可が必要だが、まだ下りていない。
〔日経バイオテク 2005/4/25〕

●北米事情
バーモント州、農民保護法を可決

 4月5日、米バーモント州議会農業委員会は、26対1の大差で農民保護法を可決した。この法律は、GM作物の交雑・混入によるダメージから非GM農家を守るために作られた。現在、権利侵害などの問題が起きないか調査が進められている。同法が汚染責任を求めていることから産業界から強い批判が出ている。


●欧州事情
GMO推進に踏みだしたフランス

 フランス下院議会は、GMO推進と、他の農業との共存を求めた立法化に関する報告書を発表した。背景には、繰り返される試験栽培中のGM作物の引き抜きによって、GMO開発が事実上行き詰まってきている現状を打破するのが目的と思われる。報告書では、一時的に試験栽培の禁止を求めているため、産業界からは不満が寄せられ、他方、有機農産物へのGMOの混入を0.9%まで容認したことで有機農家の強い反発を招いている。

GMO開発求め、ドイツ州政府が「共存法」を提訴

 ドイツのザクセン・アンハルト州政府は4月12日、連邦政府が2005年2月に制定した3つの農業の共存を求める「共存法」は、事実上GM作物の栽培を禁止するものだとして、連邦最高裁に提訴した。同州は、ベンチャー企業が多数あるドイツにおけるGM作物開発の拠点であり、植物バイオのテーマパークを設置している。〔日経バイオテク 2005/4/25〕

●カルタヘナ議定書
農水省がイネの交雑距離を見直す

 4月12日、農水省は、カルタヘナ議定書国内法(「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」)に則り、イネの栽培実験の際には、周辺にあるイネとの間に26m以上の距離をとり(従来は20m)、出穂期を2週間以上離すよう指示した。これは2004年度に東北農研センターで行われた試験で、25.5m離れた風下のイネに交雑がみられたことを受けたものである。

違法GMマウス販売

 農水省は4月20日、神奈川県川崎市にある財団法人・実験動物中央研究所が、カルタヘナ議定書国内法に基づく届け出を行わないまま、サルのポリオウイルス受容体遺伝子を導入したGMマウスを不法に繁殖・販売していたとして、繁殖や販売の停止を求め、再発防止策などの報告を命じた。研究所には、法律を順守する意識がまったく欠けていたようである。最大の顧客は国立感染症研究所であった。

違法GMマウス使用に市民団体が声明

 違法GMマウスを国立感染症研究所が実験に用いていた件で、予研=感染研裁判の会とバイオハザード予防市民センターは連名で声明を発表した。声明では、国立の研究所が違法行為を犯したことは犯罪的であるが、もともと感染研にはそのような法律無視・軽視の体質があること、もしマウスが環境中に逃げ出した場合は、ウイルス伝播の危険性があるとしている。