■2005年8月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
違法栽培GMイネ問題で中国政府が回答

 6月15日、厚労省食品安全部は、中国で違法栽培されたBtイネに関して中国政府に申し入れをしていたが、4月22日に回答があったことを明らかにした。それによると中国政府は、@Btイネは日本への輸出実績はなく、商品化の段階にもなっていない、A情報は提供しない、B条例・規則に基づいて管理を行う、と述べるにとどまった。
 厚労省は5月21日に、@中国での未承認GM米が日本に輸出されないための方策、A中国で承認、日本で未承認の米が輸出されないための方策、BGMイネの安全性評価の進捗状況、の3点に関して再質問をしたが、いまだ回答はない。

上越市で系統選抜用GMイネ田植え

 新潟県上越市にある北陸研究センター(独立行政法人・農業・生物系特定産業技術研究機構・中央農業総合研究センター・北陸研究センター)で開発が進められている、カラシナ由来の抗菌性タンパク質(ディフェンシンタンパク質)をもつ複合耐病性イネの第2次田植えが6月29日に行われた。
 5月31日の第1次田植えのイネは病気への抵抗性を見るため、開花前に刈り取る予定。今回田植えされたイネは、開花させ種子を採るためのもので、周囲のコシヒカリと開花時期が重ならないように時期をずらせた。試験栽培の目的は「系統選抜」にあり、5系統7種類のGMイネが作付けされ、多数ある系統から選抜する予定である。

GMイネ中止を求め仮処分申請

 6月24日、北陸研究センターで開発が進められている複合耐病性イネの田植え差止め仮処分が、上越市の農家と現地のお米を購入している新潟の生協の組合員の計12名により、新潟地裁高田支部に申請された。
 申し立ては、GM技術の危険性に加えて、野外試験栽培は正当化されるために必要な条件を満たしていない、という理由に基づく。GMイネの田植えの中止、田植えしたイネの刈り取りとともに、いもち病や白葉枯病のバクテリアを噴霧する試験の中止を求めている。6月28日の最初の審尋は、大雨で列車が止まり、研究者や弁護士が出席できなかったため、FAXでやり取りされた。

2007年、北海道で耐冷性イネの野外試験

 北海道札幌市にある北海道農業研究センター(独立行政法人・農業・生物系特定産業技術研究機構・北海道農業研究センター)は、2007年より、小麦の遺伝子を導入した耐冷性GMイネの野外試験を始めることを明らかにした。現在、温室栽培試験を進めており、特許を取得する予定。今年度から住民説明会を行う。もし野外試験が実施されれば、GM作物栽培規制条例制定後初の野外栽培となる。 〔日本農業新聞 2005/6/09〕

農業生物資源研がスギ花粉症イネを田植え

 6月8日、茨城県つくば市にある独立行政法人・農業生物資源研究所内の隔離圃場で、スギ花粉症イネの田植えが行われた。このイネは、昨年平塚市のJA野外圃場で栽培される予定だったが、市民の反対が強く急遽温室内栽培に切り換えられた経緯がある。これまで、農業生物資源研は他の研究所の圃場を利用していたが、今年隔離圃場を整備し、初めて作付けした。

Btトウモロコシは収益悪く、環境破壊をまねく

 グリーンピースはフィリピン農務省に対して、Btトウモロコシが農家に経済的負担を強いているという調査結果を発表した。モンサント社がBtトウモロコシは収益性のある作物といってきたのは虚偽であり、アロヨ政権は認可してはならなかった、と抗議している。
 調査によると、モンサント社のBtトウモロコシ種子の値段は18s袋4400ペソであり、従来のハイブリッド種子の最低価格1500ペソ、自然交配種子の最低価格460ペソと比べて高い上に、多量の肥料を必要とするため収益が落ちると指摘している。
 またBtトウモロコシの殺虫毒素が益虫を殺し、土壌を汚染するため、これまでのようにスズメバチを用いた害虫対策の方が環境にやさしく、効果も大きいとしている。 〔Indymedia Colombia 2005/6/23〕

WHOがGM食品を一定評価

 6月23日、WHO(世界保健機関)は「モダン食品バイオテクノロジー、人間の健康と開発(modern food biotechnology, human health and development)」と題する報告書を発表した。報告書は3年間にわたって検討した内容をまとめたもので、米英などの政府関係者やGM食品産業界、消費者団体などが関わっている。GM食品が果たしてきた役割については一定の評価を与え、コーデックス委員会が作成した安全性評価の基準も適切だとしている。その一方、潜在的なリスクを評価するために、長期にわたるモニタリングが必要だとも述べている。〔AFP 2005/6/23〕

米農務省、GM作付け面積発表

 6月30日、米国農務省は今年国内で作付けされたGM 作物の推定栽培面積を発表した。それによると、トウモロコシは全体で3264万ヘクタール、その約52%がGMトウモロコシで、今年1月に発表されたISAAAのデータと比較すると前年より7%増えている。大豆は全体で2932万ヘクタール、その約87%がGM大豆で、前年より1%増えている。もっとも大豆全体の栽培面積は3%減少した。ワタは全体で560万ヘクタール、その約79%がGM大豆で、前年より1%減少している。全体的に拡大傾向はつづいているものの、頭打ちの状態に近づいた。〔USDA 2005/06/30〕