●GMOフリーゾーン
GMOフリーゾーン宣言・東北ネットワーク設立
9月3日、山形県の生産者、宮城県の消費者などが仙台市で集会を開き、「GMOフリーゾーン宣言・東北ネットワーク」(代表・中川信行・高畠有機農業推進協議会)を設立した。日本で初めての本格的な地域横断型のGMOフリーゾーン宣言である。あわせて同日、東北大学で栽培中の「鉄欠乏(アルカリ)土壌耐性イネ」の栽培試験に対する抗議声明が採択された。
●コーデックス
コーデックス特別部会、未承認混入率が焦点に
9月19日より、千葉県で開かれるコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会の議題がほぼ確定した。今回は、取り上げるテーマの絞り込みを行うが、前回(2000年〜2003年)積み残した「GM動物食品」が取り上げられることは確実である。
その他で注目されるのが、未承認作物の混入率を設定する議題で、米国とバイオ産業が最優先課題としているのに対して、消費者団体などは混入率設定には全面的に反対しており、真っ向から意見が対立、激しい応酬が予想される。
●遺伝子汚染
Bt10、その後も混入続く
農水省の調査によると、8月12日に鹿島港に着岸した船に未承認GMトウモロコシBt10がまたしても検出され、2,053トンが処分された。
表1 Bt10 検出状況
|
着岸日 |
積降港 |
判定日 |
処分量(トン) |
1 |
5月26日 |
名古屋 |
5月31日 |
390 |
2 |
5月30日 |
苫小牧 |
6月3日
6月16日 |
822
1,170 |
3 |
6月10日 |
志布志 |
6月23日 |
4,170 |
4 |
6月20日 |
苫小牧 |
7月5日 |
1,429 |
5 |
6月20日 |
鹿 島 |
7月11日 |
3,880 |
6 |
6月30日 |
釜 石 |
7月12日 |
1,277 |
7 |
7月15日 |
博 多 |
8月4日 |
7,674 |
8 |
7月28日 |
八 戸 |
8月19日 |
5,375 |
9 |
8月1日 |
志布志 |
8月19日 |
5,963 |
10 |
8月8日 |
志布志 |
8月24日 |
460 |
11 |
8月12日 |
鹿 島 |
8月31日 |
2,053 |
総計 |
|
34,663 |
●BSE
BSE感染、血液で検査可能に
米テキサス大学医学部のクラウディオ・ソトらは、血液中のプリオンを増殖する方法を発見、『ネイチャー・メディスン』9月号に発表した。この方法で血液検査すると、発症前診断ができるだけでなく、献血や牛肉のプリオン確認がしやすくなり、BSE感染が早期に把握できる。しかし、まだ意図的に感染させたハムスターで実験しただけであり、自然界で感染した家畜でこの方法が適用できるかどうかは不明である。
〔Wired news 2005/8/28〕
●クローン
京大再生研所長が文科省の政策批判
8月29日、人クローン胚の作成に向けた文科省の作業部会が開かれ、慶應大学医学部( 産婦人科) 教授吉村泰典と、国内初のヒトES細胞の作成に成功した京都大学再生医科学研究所所長中辻憲夫のヒアリングが行われた。最初に吉村教授が不妊治療やヒト胚研究の現状を解説し、続いて中辻所長がヒトES細胞を用いた研究の現状や今後の見通しを報告した。その中で中辻所長は、日本のヒトES細胞研究が遅々として進まないのは、すべての使用計画を審査する現在の規制が厳しすぎるから、と文科省の政策を批判した。さらに、今の日本の状況は人クローン胚研究に積極的に参入しようとする研究者の意欲をそいでいるのでは、と疑問を述べた。しかし、動物のクローン技術を研究している東京医科歯科大学教授石野史敏が「あまりに動物で異常が多いから、人に用いることに消極的なのでは」と反論し、それに対する中辻所長の答えは「そういう見方もある」の一言だった。
韓国のクローン犬、22日で死亡
韓国ソウル大学と米国ピッツバーグ大学が共同で誕生させた体細胞クローン犬2頭のうち1頭が22日目に死亡した。クローン胚1095個を123頭に移植し、2匹が誕生に至った。他の家畜同様犬でもクローン技術の不安定性が示された。
〔Nature 2005/8/4〕
●カルタヘナ国内法
農水省、GM作物2品種5品目を新たに承認
9月5日、生物多様性影響評価検討会総合検討会(環境省との共催)が開かれ、バイエルクロップサイエンス社申請の除草剤耐性トウモロコシ(T14)など2品種5品目が第一種使用として承認された。第一種使用とは、カルタヘナ法に定められた野生生物への影響なしという評価で、野外栽培を許可したものである。今回承認された5品目のうち、掛け合わせは4 品目にのぼり、デュポン社が開発したチョウ目殺虫性・コウチュウ目殺虫性・除草剤耐性(1507 × 59122 × NK603)の3つを掛け合わせたトウモロコシも含まれている。
表2 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧 |
生物多様性影響評価検討会 |
作物 |
性質 |
申請(開発者) |
名称 |
認可日* |
トウモロコシ |
除草剤耐性 |
バイエルクロップサイエンス梶@ |
T14 |
9月5日 |
トウモロコシ |
除草剤耐性&
害虫抵抗性 |
日本モンサント梶@ |
MON88017×MON810 |
9月5日 |
トウモロコシ |
害虫抵抗性&
除草剤(2種)耐性 |
デュポン |
59122×NK603 |
9月5日 |
トウモロコシ |
害虫(2種)抵抗性&
除草剤(2種)耐性 |
デュポン |
1507×59122×NK603 |
9月5日 |
ワタ |
除草剤耐性&
害虫抵抗性 |
日本モンサント梶@ |
MON88913×15985 |
9月5日 |
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*正式にはパブリックコメントの後に認可される。 |
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