■2006年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●遺伝子組み換えでアレルゲンに変化


 オーストラリアにある英連邦科学産業研究機関(CSIRO)は、殺虫性エンドウマメを開発してきた。ゾウムシに対する抵抗性をもたせるために、消化酵素の1 つα-アミラーゼの活性を阻害し、ゾウムシを殺す作用のある殺虫タンパク質遺伝子をインゲンマメから取り出し導入した。CSIROは、このGMエンドウマメ開発に500万ドルを投じ、10年間かけて研究・開発をつづけてきたが、このほどこのタンパク質がアレルゲンに変わることが確認され、開発継続が困難になった。
 エンドウマメに導入したインゲンマメの殺虫タンパク質をつくりだす遺伝子は、生の状態でも調理した状態でも殺虫能力を発揮した。しかし、アレルゲンで
はなかったものが、エンドウマメに導入するとアレルゲンに変化した。遺伝子は種を越えて他の生物に導入するとタンパク質の立体構造や、まわりにある糖鎖の形成過程に変化が起き構造が変わるが、この場合は、糖鎖の変化が原因と考えられている。
 遺伝子組み換えでは、このような未知の影響が起きやすいことが以前から指摘されていたが、それが立証された形となった。現在、日本政府の安全性評価でも、この面の評価が不十分であり、抜本的見直しが求められる。
〔Journal of Agricultural and Food Chemistry 2005,53,9023-9030〕