■2006年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
スイスでGM作物の一般栽培禁止

 11月27日、スイスで国民投票が行われ、GM作物の一般栽培・流通を5年間禁止することになった。投票率は41.8%で、禁止支持が、26あるすべての州(カントン) で上回り、全体の55.7%を占めた。翌11月28日から施行されたが、この禁止の中には研究・開発は含まれていない。 〔BBC ニュース 2005/11/27〕

欧州委員会がデンマークの共存法を了承

 11月23日、デンマークが制定した共存法(GM農業、慣行農業、有機農業の3つの農業の共存)を、欧州委員会が承認した。この法律では、GM作物が周囲の農家の作物を汚染して経済的な損失をもたらした際、賠償責任を求めている。賠償金は、GM作物を栽培した農家が100クローネ(約1900円)/ha を拠出してつくられる基金から支払われる。賠償が生じるのは混入率が0.9%を超えた場合。この賠償責任や基金の在り方をめぐって欧州委員会の出方が注目されていたが、承認によりEU内で初めての共存法が成立した。 〔FoE europe 2005/11/24〕

ポーランドでGM大豆入港阻止

 11月17日、グリーンピースの活動家は、ポーランド北部にあるグダニスク湾をのぞむグディニア港に入ろうと待機していた、クロアチア船籍の貨物船のアンカーに体を縛り付けて入港を阻止した。この船には、生産される大豆のほぼ100%が遺伝子組み換えになったアルゼンチン産の大豆2万5000トンが積まれていた。世論調査によると、ポーランドの消費者の76%がGM食品の輸入に反対している。 〔AFP 2005/11/17〕

欧州の飼料業界がモンサント社に反撃

 欧州混合飼料生産者連盟(FEFAC)は、モンサント社とアルゼンチン政府の間で起きている特許権使用料をめぐる紛争で、同社が欧州の輸入業者から特許権使用料を徴収しようとしていることに関して、「GM大豆によって特段の利益は得られず、業界としては代金を支払うつもりはない。生産国アルゼンチンの将来性を著しく阻害する」と反撃した。 〔アメリカ大豆協会週報 2005/11/21〕


●アジア事情
中国のGMイネ承認見送り

 中国政府のGM作物に関する委員会は11月23日より北京で協議を行い、昨年12月にバイオセーフティ委員会が承認したXa21イネについて安全性を立証するデータの追加を求めていたものの、今回は承認が見送られた。中国では過去2年にわたりBtイネが不法に栽培され、流通していたことがグリーンピースによって報告されている。日本や韓国の消費者の反発や、各国政府の対応が大きかったと見られる。 〔ロイター 2005/11/28〕

フィリピンでGMイネをめぐるシンポジウム

 11月19〜23日、フィリピン・マニラにイネの研究者が集まり、第5回国際イネ遺伝学シンポジウムが開催された。シンポジウムは5年おきに開かれ、今回はGMイネ研究の中心的役割を果たしている国際イネ研究所(IRRI)が運営を取り仕切った。ポスト・ゲノム解析やGMイネ開発がテーマの中心で、イランや中国でGMイネが実用化段階に移行している状況を反映した内容であった。人口増によってGMイネが人々に受け入れられるようになるだろうという楽観的な観測を述べる研究者もいた。 〔ロイター 2005/11/22〕

インドがGM食品表示へ

 これまで遺伝子組み換え食品を野放しにしてきたインドが、食品に表示義務を課す制度を検討し始めた。まだどのような制度にするか中身は固まっていないものの、厳しい制度にした場合、国内の産業界や米国からの圧力が懸念されている。 〔The Hindu Buisness 2005/12/8〕

パキスタンがGM綿導入か?

 インド首相が行ったワシントンでの講演で、ブッシュ大統領は第二の緑の革命を推進しており、その文脈でインドの原子力やバイオテクノロジー推進を支援することで同意したと述べた。さらに、インド・パキスタン・米国が共同で、農業バイオテクノロジー開発を進めるようになるだろうと述べた。パキスタンはいま、Bt綿の導入に向けて動き始めており、それを裏づけた発言だと見られている。 〔GM Watch 2005/12/07〕


●北米事情
米国の消費者はGM食品を知らない

 米国の民間団体がGM作物・食品やGM動物・クローン動物などに関する、消費者を対象としたアンケート調査を行った。それによると、GM食品について知らないと答えた人が58%を占め、大量に出回っているにもかかわらずGM食品を食べていると思っている人はわずか25%に過ぎなかった。
 クローン動物については、66%の人がよくないと思っており、食品として安全だと思っている人は23%に過ぎなかった。またクローン動物やGM動物に関して、63% もの人が倫理的な面を考慮すべきだと答えている。
 アンケートは、2005年10月10〜16日に電話で調査し、1000人から回答を得た。調査による誤差の範囲は±3.1%である。〔Pew Initiative on Food and Biotechnology 2005/11/15〕


●南米事情
ブラジルでGMトウモロコシが違法栽培

 ブラジル南部のリオグランデ・ド・スール州で、モンサント社の除草剤耐性トウモロコシ「GA21」の種子が不法に販売されていることが判明した。以前にも、モンサント社のGM大豆の種子がアルゼンチンから流入し不法販売されていた。ガリバルディ市にある研究所が検査したところ、検体の27.5%からGA21が検出された。価格は通常の種子よりも4〜5倍の値段で販売されていた。
〔Latin American News 2005/11/24〕