■2006年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
未承認ナタネ流入の可能性

 12月21日、農水省は日本で未承認のGMナタネがカナダで栽培され、輸入される可能性があることを発表した。このGMナタネは、除草剤(グリホサート)耐性ナタネ「RT73 B.rapa」系統で、カナダでは承認されており、2004年と2005年の両年にわたって栽培された。カナダ政府によると、同ナタネの作付けは全ナタネ栽培の0.009%で、種子登録は2003年に抹消されているという。そのため、今後栽培される可能性は少ないものの、花粉や落ちこぼれ種子などによる汚染の可能性もあるため、日本への流入の可能性は当分つづくものと思われる。

医薬品生産GM作物開発メーカーが閉鎖

 医薬品の生産を目的としたGM作物を開発してきた米国のバイオ企業バイオソース・ジェネティック社は、資金調達の目途が立たなくなり、閉鎖に追い込まれた。同社は、タバコに医薬品の成分となるタンパク質を生産させるGM作物を開発してきた。
 医薬品生産のためのGM作物は、2002年に発覚した、米プロディジーン社の下痢止めの経口ワクチンを生産するGMトウモロコシ汚染事件が開発を止めてきた。収穫後に種子がこぼれ落ち、翌年成育し、同じ畑で栽培された通常の大豆に混入した事件である。この事件によって第三世代である医薬品生産GM作物への批判が強まり、現在、米国だけでなく世界的に見ても承認されたものはなく、商品化の目途が立たなかったことが今回の企業閉鎖につながったと見られる。〔ニューヨーク・タイムズ 2005/12/24〕

ブラジルのGM大豆種子使用が鈍化

 2006年度産ブラジル大豆におけるGM大豆の割合は、当初の予想の50%を下回る40%程度になると見られている。そのGM大豆の中で合法的に購入された種子は3分の1程度で、非合法種子は主にアルゼンチンから流入したものと考えられる。〔アメリカ大豆協会週報 2005/12/19〕


GMイネ野外栽培差し止め裁判が本訴訟へ

 昨年、上越市にある中央農業総合研究センター・北陸研究センターで行われた野外栽培に対して、農家・消費者によって差止めの仮処分申請の訴訟が起こされたが、地裁・高裁とも訴えは退けられた。12月19日、今度は栽培によって精神的苦痛を受けたとして2670万円の損害賠償請求と、2006年の試験栽培差止めを求めて、再び地元の農家・消費者などが新潟地裁高田支部に提訴した。

米国のGM作物試験栽培は野放し状態

 12月22日、米国農務省内部の監査局は、動植物保険検査局によるGM作物への監視や規制が不十分なため、汚染や拡散の危険性が強まっていると報告した。これは2003年5月から2年にわたって22の州、91の試験場などを調査してまとめたもので、米国におけるGM作物の試験栽培が野放しになっている実態が浮かび上がった。〔ニューヨーク・タイムズ 2006/01/03〕


●欧州事情
ドイツ、政権交代でGM政策に変化か

 ドイツは長い間、社会民主党と緑の党の連立政権によって、GM作物へは批判的な政策がとられ、有機農業の振興を目指してきた。2005年の総選挙を経て発足した、キリスト教民主・社会同盟と社会民主党の大連立政権で就任したホルスト・ゼーホーファ消費者保護・食料・農業大臣は、キュナスト前大臣が拒否してきたGM作物のいくつかを承認するなど、GM作物推進の構えを見せている。 〔DW-WORLD 2005/12/22〕

欧州委員会が有機農産物へのGM混入を容認

 12月21日、欧州委員会は有機農産物へのGM混入を0.9%まで容認する規則を採択した。0.9%は、EUで認められているGM食品表示の混入率と同じであり、採択された新しい規則は、2004年6月に有機農産物の規格をまとめた「欧州アクション・プラン」に沿った内容である。
 今回の混入率容認は、欧州各国で進められている、3つの農業(有機・慣行・GM)の共存を求めた共存法制定に大きく影響しそうである。この新規則に対しては、有機農業の信頼性が損なわれるとして、環境保護団体や有機農業の団体が強く反発している。〔FoE 2005/12/22〕