■2006年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
GMスギ花粉症イネの説明会開かれる

 3月18日、茨城県つくば市にある農業生物資源研究所で、農水省の指針に基づいてGMスギ花粉症イネ等の説明会が、各地で予定されている説明会の先陣を切って開かれた。今年は2期作で、400〜500kg収穫を予定しているため、田植えを早める必要があり、説明会が早まった。現在このイネについては、カニクイザルを用いた安全性評価試験が行われているが、その説明はなかった。また、医薬品として開発するのか、食品として開発するのかも未定である。

中国でGMピーマンなど4作物が商業化

 3月24日、中国浙江大学の顧国達経済学部教授が来日し、農水省農業政策研究所の研究会で報告を行った。それによると、現在、中国ではモンサント社のGM綿の栽培が広がっているが、その他にもトマト、ピーマン、アサガオの4作物、30数件の商業化が認められているという。今後5年間のうちに、イネ、トウモロコシ、小麦、ナタネの商業化が予定され、キャベツ、ジャガイモ、ナス、大豆、スイカ、落花生なども試験中であるという。教授は、2010年にはGM作物栽培面積は780〜1400万haになり、2020年には5000万haに達すると予想している。アジア最大のGM作物大国が本格的に動き始めた様子がうかがえる。

モンサント社、魚の脂肪酸を多く含むGM大豆開発

 モンサント社は、魚に多く含まれる脂肪酸「オメガ3脂肪酸」を多く含むGM大豆を開発した。このオメガ3脂肪酸は、肥満、心臓病や高血圧などに効果があるとされている。 〔日経バイオテク 2006/4/10〕
●遺伝子組み換え食品
ハインツのベビーフードにGMイネ混入

 グリーンピースは3月13日、中国で製造販売されている食品大手ハインツの乳児用米粉を分析したところ、原料にGMイネが含まれていたと発表した。このベビーフードは広州市で生産されたもので、中国の主要スーパーや香港で販売されている。政府農業部も事態を重視し、何らかの違法行為が確認された場合は厳正に処分することを明らかにした。 〔中国経済日報 2006/3/17 ほか〕

最新GM食品意識調査

 農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)は、消費者を対象に継続的にGM食品についての意識調査を行ってきており、最新の報告が3月20日に発表された。それによると、GM食品によい印象を持っている人が9%であるのに対して、悪い印象を持っている人は51%だった。環境に対して悪い影響があると思っている人が49%であるのに対して、悪い影響がないと思っている人は12%だった。食べることに不安を感じる人は62%に達し、不安を感じない人は15%だった。食用油や醤油などに表示義務がないことを知っていた人は24%、それに対して知らなかった人は70%で、ほとんどの人が知らないまま食べている実態が浮かび上がった。
●GM汚染
スペインで大規模なGM 汚染

 4月4日、GMトウモロコシの栽培が拡大しているスペインで、非GMトウモロコシを栽培している農家の畑を調査したところ、その4分の1にGMトウモロコシの混入が確認された。混入率は最大で12.6%に達しており、汚染の結果、非組み換え作物栽培農家の間では経済的な損失も起きており、調査したグリーンピースは、GM作物栽培農家と非GM作物栽培農家の共存は難しいとする見解を発表した。 〔GMWatch 2006/4/6〕

環境省によるGMナタネ環境調査

 環境省は3月20 日、2005年度に行ったGMナタネ自生調査の結果を発表した。調査は117地点473試料の種子を採集して行われた。調査地点は、清水港、四日市港、堺泉北港、北九州港、博多港、宇野港、水島港とその周辺、それに江戸川、荒川、多摩川、相模川の河川敷で、西洋ナタネ、在来ナタネ、カラシナの種子が採種された。その結果、博多港の港湾地域と四日市港周辺の道路および河川敷の計7地点12試料でGMナタネが確認された。検出されたのはすべて西洋ナタネで、そのうち2試料でラウンドアップ・バスタ両方の除草剤への抵抗性が確認された。

NGOによるGM汚染報告書

 3月8日、NGO団体・グリーンピースとGMウォッチは、遺伝子組み換え作物が商業化した1996年以降に発生したGM汚染事故や事件、違法栽培などをまとめた報告書を発表した。それによると汚染が88件、違法栽培が17件、農業への悪影響が8件あった。この報告書は下記ホームページで閲覧できる。
http://www.greenpeace.org/raw/content/international/press/reports/gm-contamination-report.pdf
●欧州事情
GM規制に動くポーランド政府

 ポーランド政府は、環境保護を大切にする国家イメージを守るため、GM作物の栽培を禁止し、家畜の飼料目的でのGM作物の輸入や試験栽培にも反対するという声明を発表した。また、GM食品に関しては輸入は認めるものの、厳密な表示などの厳しい規制を求めるとした。同国の最近の世論調査では、76%の消費者がGM作物に反対している。 〔AFP 2006/4/7〕

欧州でGMとの共存に関する会合開催

 4月4日〜6日、欧州委員会主催によるGM農業と慣行農業・有機農業の共存に関する会合が、EU農業理事会の議長国オーストリアのウィーンで開催された。会議は、政府代表、企業代表、農業者、環境保護団体、研究者などが意見を述べ合う形で進行し、対立した状態のまま終了した。主な論争点は、隔離距離や汚染の許容範囲などであったが、共存をあくまで経済問題として扱い、環境や健康への影響の問題ではないとする欧州委員会の姿勢に批判が集中した。 〔GM Watch 2006/4/6〕