■2006年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●モンサント
モンサント社の次世代戦略

 モンサント社は、当面、トウモロコシ、大豆、綿、ナタネの4作物に絞って開発を進め、現在食品安全委員会で審議中の高リシン・トウモロコシや、開発中の高トリプトファン大豆を次世代戦略作物としていることを明らかにした。いずれも必須アミノ酸を増やすことで飼料としての付加価値を高めた作物である。除草剤ディカンバ(Dicamba)に対応させた、ポスト・ラウンドアップを狙った除草剤耐性作物の開発にも着手している。 〔日経バイオテク 2006/3/27〕

●ES細胞
ヒトES細胞研究、信州大3株追加

 3月17日、ヒトES細胞研究の審査を行う文科省の専門委員会が開かれ、信州大学医学部の使用計画の変更が認められた。使用計画とは、すでに確立されたES細胞株を用いる研究のことで、信州大学は心筋細胞と肝細胞への分化を研究している。変更があったのは、研究施設の追加、研究者1名の削除、細胞株の追加。なお、細胞株は現在使用している米国Wicell株に、京都大学再生医科学研究所が作成した3株を加える。

●ヒト胚
ヒト胚合同会合、本格議論スタート

 4月7日、ヒト胚の作成・利用に関する基準作りを行っている文科、厚労両省の専門委員会による合同会合が開催され、ガイドラインの策定に向けた本格的な議論が始まった。これまでは産婦人科医などの専門家を招いてのヒアリングが行われてきた。最初の検討課題として事務局が提示したのは、生殖補助医療における基礎研究と臨床研究、それぞれの範囲の明確化だった。しかし、上智大学大学院教授町野朔は「臨床研究という言葉にこだわる意味はない。生殖補助医療の研究目的でヒト胚を作るときにどういう条件なら許されるのか、それを議論すれば足りる話だと思う」と疑問を呈した。2004年7月に総合科学技術会議がまとめたヒト胚最終報告では、生殖補助医療の研究目的に限り、新たなヒト胚の作成を認めている。これに対して座長の国立国際医療センター総長笹月健彦は、「目的は言葉の定義ではなく、この指針がどこまで面倒見るのかを議論すること」と答え、結論は次回以降に持ち越されることになった。

●自治体動向
千葉県が食の安全・安心条例施行

 4月1日、千葉県は「千葉県食品等の安全・安心の確保に関する条例」を施行した。条例では、「遺伝子組み換え食品等に関する措置」として、GM作物とGM作物以外の植物との交雑防止の措置を取ることを求めている。GM作物栽培規制のための単独の条例や指針づくりに取り組むか否かは不明である。
●省庁動向
テンサイが表示の対象に

 3月22日、農水省と厚労省の食品に関する共同会議が開かれ、テンサイとその加工食品をGM食品表示の対象に追加することを決め、パブリックコメントを募集する。すでにモンサント社のテンサイは承認されており、栽培・加工・販売が始まる見込みである。

味の素のGMグルタミン承認へ

 食品安全委員会は4月6日、味の素が開発したGM L-グルタミンを承認、パブリック・コメント募集ののち認可されることになった。グルタミンの中のL型は、タンパク質を構成するアミノ酸の1つで、食品添加物に用いられる。生産効率を上げるためにGM技術が用いられた。

農水省がGM作物栽培実験指針を改定

 3月8日農水省は、GM作物の栽培実験に関する指針を改定し、イネの隔離距離を従来の20mから30mに変更し、対象作物にパパイヤとテンサイを加えた。今後も科学的な知見で変更の必要ができた時は見直すとしている。
今月のGMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧
生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ワタ 害虫抵抗性× 除草剤耐性 ダウ・ケミカル日本 281×3006× 1445 3月22日
ワタ 害虫抵抗性× 除草剤耐性 ダウ・ケミカル日本 281×3006× MON88913 3月22日
*正式にはパブリックコメントの後に認可される。